近年、生鮮や総菜の商品を拡大する生鮮強化型のドラッグストア(DgS)、いわゆる「フード&ドラッグ」の勢いが増している。なかには食品スーパー(SM)と遜色のない食品の品揃えを提供するチェーンもあり、SMにとっては直接的に競合し得る存在となっている。実際にSMとフード&ドラッグはどのように使い分けされているのか。とくに両社の競合度合いが激しい岐阜県、富山県、石川県、福井県の4県におけるレシートデータを用いた調査から考察してみた。
若者や単身世帯に「DgS寄り」の傾向
mitoriz(ミトリズ:東京都/木名瀬博社長)は、全国50万人以上のアクティブユーザーから月間1000万件のレシートデータを収集する消費者購買行動レポートデータサービス「マルチプルID-POS購買理由データPoint of Buy」(ポイント・オブ・バイ:以下、POB)を運営し、消費者の購買行動やその背景などを分析している。
今回の調査にあたって、2024年6月28日~7月17日、岐阜県、富山県、石川県、福井県に在住するPOBの会員1761人を対象にアンケートを実施した。回答者の居住地は、岐阜県が42 .1 %で最も多く、石川県(23.1%)、富山県(19.7%)、福井県(15.1%)の順で構成されている。回答者の平均年齢は47.6歳で、61.9%が女性だった。
なおmitorizでは、食品購入におけるSMとDgSの利用状況について、22年1~2月に岐阜県、富山県、石川県、福井県に在住するPOBの会員254人アンケートを実施した(以下、「22年調査」と表記)。また、23年12月には東京都下(23区外)に在住するPOBの会員895人に同様のアンケートを実施している(以下、「23年調査」と表記)。今回はこれら過去の調査データと比較しつつ、利用動向の変化も追っていきたい。
今回の調査において食品の購入先として挙げられたのは(図表❶)、「SMをメーンで利用し、必要なときにDgSを利用」が59.5%で最も多く、「SMとDgSを半々で利用」「メーンはDgS、必要なときにSMを利用」を合わせたSMとDgSの併用率は88.8%だった。東京都下で行った23年調査に比べて15.3ポイント(pt)高く、SMとDgSを併用する傾向が強いことがうかがえる。
また、「ほぼSMのみ利用」と「SMをメーンで利用し、必要なときにDgSを利用」を合わせた「SM寄り」の割合は
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