岡山県に本部を置き、食品スーパー(SM)を展開するマルイ。商勢圏の岡山県、鳥取県、島根県は各地で食文化が大きく異なる。そのため地域密着型の品揃え、店舗運営に力を入れる方針で、強い支持を獲得している。今年5月、経営トップに就任した松田和也社長は、「『絆』を大切にし、お客様の幸せを紡ぐ存在となれるよう努力したい」と意気込みを見せる。
ネットスーパーに力を入れる
マルイの創業は1931年、岡山県津山市で乾物や加工食品などを販売する「マルイ食料品店」を開いたのが起こりである。55年には西日本でいち早くセルフサービス方式を取り入れた売場づくりで注目を集めた。会社設立は58年で、70年代後半以降、徐々に店舗数を増やしてきた。
新規出店の一方、商勢圏を広げながら着実に店舗網を拡大。現在、本拠の岡山県のほか、鳥取県、島根県において24店舗を展開している。2024年2月期の売上高は278億円。
なおマルイは持ち株会社、マムハートホールディングス(岡山県/松田欣也社長)の中核企業でもある。同HDの24年2月期売上高は490億円、マルイを含め50店舗を展開している。
さて商勢圏に目を向けると、年々、経営環境は厳しさが増しているのが現状である。有力SMが多いほか、ここ10年は食品強化型ドラッグストア(DgS)やディスカウントストア(DS)など、価格訴求型の異業態も目立つようになってきた。さらに中国、山陰は、人口減少が全国平均よりも顕著なエリアである。
「確かに厳しい市場だが、戦略次第では開拓できる分野はまだ多いと認識している」。こう話すのは、マルイの新社長に就任したばかりの松田和也氏だ。同氏は大学卒業後、大手食品メーカーを経て14年に入社。今年5月、常務(営業本部長)から昇格した。
開拓できる分野の1つとして取り組むのは、
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