[東京 17日 ロイター] – キリンホールディングスは17日、マレーシアのマラヤ大学・熱帯感染症研究教育センター(TIDREC)との共同研究で、プラズマ乳酸菌を継続して摂取することで、デング熱の主な症状である「発熱」や「筋肉痛」などの抑制に効果があることを確認したと発表した。今回の研究結果を機に、22年から東南アジアでプラズマ乳酸菌の原料の販売を開始する。キリン中央研究所の藤原大介リサーチフェローは「現地の飲料や食品会社と話し合いを進めていく」とし、27年には10億円の売上高を目指すと述べた。
マラヤ大学とは今後、デング熱以外の熱帯病ウイルスに対しての有効性の確認などの共同研究を続ける。TIDRECのサザリー・アブバカール主任教授はプラズマ乳酸菌がコロナウイルスに効果を持つかどうかについて「重症化を防ぐ効果があっても驚かないが、適切な臨床試験が必要だ」と述べた。
医薬品事業を手掛けるキリンHDは、ヘルスサイエンスを事業の柱の一つと位置付けており、「免疫機能」は重点領域の一つとなっている。2010年に発見した「プラズマ乳酸菌」は、他の乳酸菌と異なり、免疫の司令塔を活性化させることが特徴。2021年の関連売上高135億円(予定)を27年には500億円へ、事業利益率は20%を目指している。現在、年間14万トンの生産能力を23年には倍の28万トンに増強を計画。自社で展開する飲料やヨーグルトなどの商品のほか、他社と連携して、チョコレートやグミなどに商品群を拡大する。さらに海外では、米国、東南アジア、EU(欧州連合)での展開を加速させる。