「多品種小ロット生産」という従来のファストファッションとはまったく異なるビジネスモデルを確立し、世界中で存在感を強めているSHEIN(シーイン)。なぜ、シーインはこのようなビジネスモデルを構築することができたのか。また、今後はどのような成長の絵姿を描いているのだろうか。世界のアパレルの動向に詳しい、ローランド・ベルガーパートナーの福田稔氏が解説する。
ファストファッションにおける“究極のビジネスモデル”
シーインは現在のファストファッションにおける、“究極のビジネスモデル”をつくり上げた企業と言っていい。
ファストファッションのビジネスモデルの第1世代は、「ZARA」「H&M」などの店舗型ファストファッション企業だ。これらのプレイヤーのリードタイムは最短2週間といわれている。続いて登場したブーフー(Boohoo)やエイソス(ASOS)といったオンライン型ファストファッションのリードタイムは約1週間。第1世代のリードタイムを半分に短縮した、これら第2世代は「ウルトラ・ファストファッション」と呼ばれる。
これに対して、シーインのリードタイムは最短2~3日とさらに短いことから、欧米の一部メディアでシーインを「リアルタイム・ファストファッション」と呼ぶようになった。いわば、ファストファッションの第3世代だ。
シーインは多品種小ロット生産により、毎日3000~5000という驚異のサイクルで新アイテムを発売している。こうしたビジネスモデルを確立したシーインは、グローバルに事業を展開中だ。米調査会社、イーコマース・データベースによると、2020年度のシーインの売上高はコロナ禍で対前年比3倍以上に伸び、日本円で約7500億円だった。
なぜ、シーインはこのようなビジネスモデルをアプリベースで実現できているのだろうか。その最大の理由は、
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