限定された「人口」を多数の「回数」にする
セブン-イレブンが「個店経営」を選んだのは、まず、加盟店の商圏が限定されており、近隣への商圏拡大が不可能だったからだ。とすれば個々の店舗は、人口が限定され自然増をほとんど期待できない住民・世帯の「コンシューマー」(=人数)を、いかに「カスタマー」(=回数)として来店させるか、または「来店回数」を増やす努力をするかしかなかった。それは同時に、本部は加盟店の努力が報われるように、競争相手の行動に関係なく、「品揃え」と「商品」の豊富な選択肢を、的確なタイミングで提供する義務がある、ということでもあった。
セブン-イレブンの本部と加盟店が背負った課題は、どの店も全時間帯、24時間昼夜を問わず、全住民を年齢・性別・職業・その他の違いを問わず、とにかく「わが店のカスタマー」にしなければ、「客数」を確保できないということにあった。そこでは、全国に「いる」わが社向きの「分衆」を、ビッグデータから「帰納」するマーケティング手法は採用できない。限定された商圏の、限定された住民全員を、何が何でもカスタマーに「する」方法を「演繹的」に工夫するしかない。そこで、「カスタマー」は「コンシューマー」のように人口・世帯数といった「存在する人数」ではなく、わが社が意図的に「つくる回数」である、という発想が採用されたのである。
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