競争激化、人材確保難など経営環境は厳しさを増す中、フジ(愛媛県/山口普社長)は数年来、コスト低減、生産性向上をねらってプロセスセンター(PC)を整備してきた。これにより鮮魚部門は、店内で付加価値を生む作業に集中できるようになったことで収益が改善、成果を出している。
コールドチェーンを確立
フジが事業展開する中四国エリアは近年、経営環境が厳しさを増している。競争面では、食品スーパー(SM)のほか、食品の扱いが大きいドラッグストア、またディスカウントストア、コンビニエンスストアなどの異業態が台頭。さらに少子高齢化も顕著で、人手不足問題も深刻になっている。
フジでは対応策について協議した結果、2017年度からコスト低減、生産性向上をねらって順次、PCの整備を進めてきた。PC自体は1970年代から使用しているものの設備が老朽化しており、刷新にあたって規模拡大のほか機能面の充実、強化も図った。現状、青果、精肉、鮮魚のほか総菜向けの施設がある。
今回スポットを当てるのは、19年7月の稼働以来、着実に成果を出している「鮮魚プロセスセンター」である。延べ床面積は1400㎡、投資額は約2億円。
鮮魚のPC開設のねらいを、PCを管轄する上席執行役員の河野俊之氏は次のように説明する。「『簡便』『即食』『時短』など、お客さまのニーズは多様化している。それらに応え、さらに付加価値のある分野に注力するためには、店内作業を効率化する必要がある。一方で長らく鮮魚は赤字に悩んできた。異業態対策で生鮮食品を強化する方針の中で、抱える問題をクリアするにはPCが必要だと考えた」。
同PCは、卸売市場から近い場所に立地。本拠の愛媛県の店舗では、当日に仕入れ、加工した魚介類の商品をその日のうちに配送できる。超低温冷凍庫をはじめ高性能な機器を積極的に取り入れたほか、仕入れから加工、店舗への配送まで一貫したコールドチェーンを確立するなど、充実した体制を整えているのが特徴だ。
機器類では「冷凍(鮭)スライサー」「万能3枚卸機」「寿司ロボット」などを導入。これらを使い、ウロコ取りや頭落とし、内臓除去といった処理のほか、切り身、三枚おろし、短冊の加工、また魚総菜も製造する。
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