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1500人商圏でも出店できる!さとう、ローコストの仕組みと強い売場づくり4つの施策

少子高齢化や人口減が進むなか、そうした地域でも収益が成り立つ店づくりが食品スーパー(SM)各社に求められている。京都府福知山市に本部を置き、事業を展開するさとう(佐藤総二郎社長)は、人口が少ないエリアにも果敢に出店を重ねている。その最新店から、同社の勝算と、独自の施策に迫った。

1次商圏人口はわずか約1500人

 さとうは6月3日、兵庫県丹波市にSM「フレッシュバザール氷上インター店」(以下、氷上インター店)をオープンした。同店はJR福知山線「石いそう生」駅から西北西約1.5㎞に立地。県道7号線に面するとともに、北へ約350mには北近畿豊岡自動車道の「氷上」インターチェンジがありクルマでのアクセスがよい。

6月3日にオープンした氷上インター店。足元商圏は薄く、競争環境が厳しい立地にある

 同店の大きな特徴は、足元商圏の人口が極端に薄い点だ。1次商圏に設定する半径1㎞圏内に居住するのはわずか571世帯/1561人しかいない。

 一方で、競争は激しい。近隣の競合店としては、とくに北西約220mにある総合スーパー「ゆめタウン丹波」は、氷上インター店の駐車場からその看板が見えるほど至近にある。また、南西約800mでは大規模商業施設に入る「コープ柏原」が、南東約1.1㎞ではディスカウントストア(DS)の「ザ・ビッグエクストラ氷上店」も営業しており、有力な大型店が点在する。

 さとうは、今回出店した丹波市を含む北近畿エリアを主な商勢圏としている。しかし同エリアでは人口減少が急速に進行していることに加え、食品の取り扱いが大きいドラッグストア(DgS)やDSといった異業態も台頭し、年々競争が激化している。

 兵庫県丹波市は、さとうが強固な店舗網を構築する行政区の1つだ。今回で7店目の出店となり、兵庫県豊岡市の13店、京都府福知山市の11店と並び、多くの店を投じている。高いシェアを確保するエリアとはいえ、周辺に人家が少なく、有力店が至近でしのぎを削る激戦区であれば、新店を投じることに躊躇するSM企業は少なくないはずだ。

 そんななかでも今回、さとうが出店を決めるにいたった理由について、店舗開発担当の後藤弘和専務は次のように説明する。「確かに足元商圏は薄い。だが周辺は商業施設が集積し、買物客が集まるエリアであり、それに対して生鮮を強化した日常づかいのSMはまだ少ない。また丹波市にある当社の既存店の業績を見て、出店しても集客は可能と判断した」。

 さとうは、氷上インター店のように足元商圏の薄い立地でも出店するケースが少なくない。たとえば2018年10月に新規オープンした「フレッシュバザール城陽寺田店」(京都府城陽市)や、同年2月に新装開店した「バザールタウン豊岡メガ・フレッシュ館」(兵庫県豊岡市)も周辺に人家の少ない地域に出店した店舗だった。そしてそのいずれの店舗も現在、高い支持を得て、繁盛店となっている。

PC機能も備える物流センターを整備

 なぜさとうは人口が少ない商圏に出店できるのか。

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