ブランド力の強さの指標であるストア・エクイティ・インデックス(SEI)において、「イオン」ブランドの全国における数値は2.2。ほかのブランドが1未満であることを考えると、全国的に確立された唯一のチェーンだといえる。イオン(千葉県/吉田昭夫社長)の中核事業会社であるイオンリテール(千葉県)の井出武美社長に、同社のブランド力を支えるさまざまな取り組みについて聞いた。
若手社員の意見を積極的に採用
──イオンでは、とくに20~30代の支持の高さがブランド力を押し上げています。若者向けの施策について聞かせてください。
井出 もちろんあらゆる世代への対応は必要ですが、なかでも今後の消費の中心となる「ミレニアル世代」「Z世代」には注目していかなければなりません。近年は、若者を中心に人気のアウトドア商品のほか、セルフコスメや男性用コスメを充実させています。
同世代の若い社員が企画・開発を進めている商品もあります。総菜では「ココロとカラダの健康」をコンセプトに開発に取り組んでおり、スイーツについても検討しています。今後は商品面以外でも若手社員のアイデアを生かしていきたいです。
──今回の調査では、消費者は買物の楽しさよりも価格の割に品質が高いことを重視する傾向がみられ、特売よりも短時間で買物できることを望んでいることもわかりました。これについてどうお考えですか。
井出 プライベートブランド(PB)「トップバリュ」では、これまで独自基準に基づいた商品開発のほか、お客さまの意見を取り入れる「お客さまモニター」を実施してきました。本年度からは、グループ約50万人の従業員の意見も反映させるため「トップバリュ従業員コールセンター」を設置しました。こうした取り組みが低価格・高品質の両立につながっています。
コロナ禍では消費者の買物行動やニーズが変化し、健康志向や安全安心に対する意識も高まっています。調査結果は、1カ所で買物を短時間で済ませたいという気持ちの表れととらえています。
とはいえ、お客さまの低価格志向は健在です。当社では、昨年特定の曜日・時間の集客につながる販促を自粛し、「生活応援特価!」と題していつでも同じ低価格で提供するEDLP(エブリデー・ロー・プライス)に舵を切りました。直近では月間で約1500品目を展開し、販売点数も大幅に伸長しています。
接客を重視して実店舗の価値を向上
──コロナ禍の消費動向を踏まえ、今後の商品政策について教えてください。
井出 ワクチン接種で
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