商業を「工業化」する「画一売店チェーン」
「個店経営」は、日本のセブン-イレブン・ジャパン(東京都)が(というよりその実質的創業者の鈴木敏文氏が)創始した、世界的に見てもまったく新しいチェーン経営の方法論である。だが、その独創性と卓越性、そして必要性を知るには、「個店経営チェーン」以前の「画一売店チェーン」経営の本質を知る必要がある。なぜなら、「個店経営チェーン」はそれに先立つ「画一売店チェーン」を踏まえて考え出されたものだからだ。
まず、これを「画一売店チェーン」と呼ぶのは、残念ながら私の独創ではない。
産業革命、そして工業化によって製造業は大企業化していった。これに対し、「小売業・商業」の工業化は遅れていた。「画一売店チェーン」は、小売業・商業の大企業化の方法でもあったのだ。事実、いま上場している流通チェーンのほとんどは、この「画一売店チェーン」の考え方を学んで生まれた企業である。
だが、この「画一売店チェーン」の最も典型的な事例は、流通業ではなくファスト・フーズ・チェーン(以下、FFS)である。なぜなら「ファスト・フーズ」とは工業製品そのものであり、したがってその販売店は、典型的に判で押したような「画一売店チェーン」になっている。その方法論を小売業に当てはめれば、「画一売店チェーン」の本質がより簡単明瞭に了解できよう。
「画一売店チェーン」の目的はネットの出現によって実現?
「個店経営チェーン」は、この「画一売店チェーン」の後に生まれた、まったく異なる発想のチェーンである。だがその経緯を述べる前に、いま起きている興味深い現象から指摘しなければならない。それはネットの出現である。
先に結論をいえば、
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