地元メーカーなどとの共同開発によるプライベートブランド(PB)商品をはじめとしたオリジナリティあふれる商品によって、地域で圧倒的な支持を集めているローカルチェーンがある。長野県を地盤に食品スーパー(SM)36店舗を展開するツルヤ(掛川健三社長)だ。なぜ、ツルヤの商品力は優れているといわれるのか。SMの経営コンサルティングに多数の実績を持つ、アイダスグループの鈴木國朗氏が解説する。※調査日:2021年3月1日、商品の価格はすべて税抜
定番商品が主役! ゴンドラエンドの妙
「ツルヤ前橋南店」(群馬県前橋市)は、長野県に35店舗を展開するツルヤにとって県外初出店となる店舗だ。
ツルヤの商品を分析するにあたって同店を選んだ理由は、最新店舗であることに加えて、初進出となる群馬県前橋市のマーケットにおける商品政策(MD)を確認できるためだ。まずは、21年3月1日に来訪した際に感じた、同店のオペレーション面での印象を簡単に述べておきたい。
業界では一般的に「高業績を上げる企業は、マネジメントレベルが高い」といわれるが、前橋南店はそれを具現化したような店舗で、標準化されたオペレーションが県境を越えた地にも伝達され、実行されていた。
従業員は積極的にお客への声がけをしており、買物の邪魔にならないよう気づかいながら補充作業を行っていた。POPやプライスカードは正しい位置に付けられ、整然とした売場がつくられていた。クリンリネスは一部の売場で目が行き届いていないところも散見されたが、店舗の混雑ぶりを考えれば許容範囲といえるだろう。
他チェーンと大きく異なるのがグロサリー売場のゴンドラおよびゴンドラエンドの使い方である。
ツルヤは、定番商品が並ぶゴンドラにマグネットをつくり、お客を通路の中へと誘導するという売場づくりをしている。ゴンドラに陳列した魅力ある定番商品を吟味してもらおうという姿勢が表れている。つまり、ツルヤにとっては「定番商品が主役」であり、これが回遊性を高める役割を果たしているのだ。
通常は、ゴンドラエンドに特売商品を置いて買い上げ点数を上げようとするが、ツルヤでは
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