「無印良品」を展開する良品計画(東京都/松﨑曉社長)は、2021年8月期第1四半期の決算を発表した。食品が好調に推移したほか、販促セールを実施しなかったことなどが奏功し増収増益となった。今後は食品スーパー(SM)の機能を強化した店舗やSMに隣接する店舗の出店を強化する方針だ。
※業績の増減比は、前期が決算期変更による半年決算のため、20年8月期第1四半期ではなく、20年3月期第3四半期(19年9~11月)との比較を掲載(良品計画が公表しているデータブックに準じる)。
海外では東アジア事業が好調
良品計画の2021年8月期第1四半期(20年9~11月)決算は、営業収益1149億円(対前年同期比2.9%増)、営業利益131億円(同42.6%増)、経常利益134億円(同29.1%増)、四半期純利益122億円(同69.3%増)の増収増益だった。レトルトカレーなどを中心に食品の売上が同61.4%増と好調だったほか、新型コロナウイルスの感染リスクを低減するため、販促セールの「無印良品週間」を一度も実施しなかったことによる販管費削減・定価販売の継続などが好業績につながった。
エリア別の業績を見ると、国内事業の営業収益は同1.4%増、営業利益は同27.3%増と堅調に推移。海外事業では、営業収益は同5.7%増、営業利益は同83.9%増の増収・営業増益となっている。中国や台湾などの東アジア事業が海外事業を牽引しており、営業収益は同19.3%増、営業利益は65.4%増と好調だ。新型コロナウイルスによるロックダウンなどの影響が大きい欧米事業は赤字だが、損失幅は縮小している。今後、海外事業については好調な中国や台湾、タイに注力し、売上の底上げを図る考えだ。
SM併設の店舗を増やす
決算発表会では今後の出店戦略についても言及された。「今後はより生活圏に入り込んだ出店をしていきたい」(松﨑社長)とのことで、食品を軸にSMとしての機能を重視した出店に力を入れる。
来店頻度の向上につながる食品の売上高構成比は年々高まっており、この四半期では前年同期と比較して6.0ポイント上昇して16.1%となっている。SMの機能を内蔵した店舗では、食品の売上高構成比が20~30%ほどになっているところもあり、衣料品や生活雑貨のついで買いも多いとのことだ。
今後は「無印良品 イオンモール境北花田」(大阪府堺市)や「無印良品 京都山科」(京都府京都市)のように生鮮を取り扱う食品強化店舗や、「無印良品 野々市明倫通り」(石川県野々市市)のようにSMに隣接する店舗の開発、さらにはSMのある商業施設内への出店に注力したい考えだ。現在開発している店舗の大半は路面店やSM併設店舗だという。
「クイーンズ伊勢丹」の運営会社が展開する食品売場を導入
20年11月には「無印良品 イトーヨーカドー弘前」(青森県弘前市)、同年12月には「無印良品 イトーヨーカドー曳舟」(東京都墨田区)を総合スーパー内にオープン。業績は両店とも好調だという。
21年春には、「無印良品 港南台バーズ」(神奈川県横浜市)を増床リニューアルオープンする。同店に設ける生鮮食品を含む大型の食品売場は、「クイーンズ伊勢丹」を展開するエムアイフードスタイル(東京都/雨宮隆一社長)が運営することになっている。
このようなSMとしての機能を付加した店舗については、国内だけでなく海外での出店も視野に入れているという。まずは中国で準備を進めていくとのことだ。
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2度目の緊急事態宣言の発令により、無印良品では営業時間の短縮を実施するものの、1度目ではピーク時に全体の約3分の2の店舗が休業していたのに対し、今回は休業する店舗はないとのことだ。21年8月期通期の業績予想に変更はなく、営業収益4876億円、営業利益492億円の過去最高額をめざす。