メニュー

一流店に学ぶ、ファンづくりの極意 主導権は常に顧客に置き、自慢と感動は隣り合わせと心得よう

こんにちは、成田直人です。前回の連載は失礼しました、前置きが長すぎて本編に入る頃にはかなりの文量になってしまったため2回に分けてお送りさせていただくことにしました。私が実際にあるすごい店に行って、その秘密をレポートする後編。そのお店のあまりのすごさに、私も思わずハイテンションでレポートしてしまいました。

RichVintage / istock

接客の際、主導権は常にお客に委ねる

 前回トークの運び方に一流のポイントがあったことをお話しました。販売力の低いスタッフは、すぐに商品説明をしたり、試着をさせようとしますよね。主導権を常に販売側が持ちたいと思っているのです。

 この手法は「需要>供給」の時代に成り立った手法です。今のような「需要<供給」の厳しい時代にはそぐわない手法なのです。

 主導権は顧客に委ねることが大切です。顧客が話題にしてから会話に入り込、み、その流れの中で「想定外を生み出すこだわり」に触れることで、そのこだわりがお客の心にスムーズに浸透していきます。

 自慢(売り込み)と感動(想定外)は常に隣り合わせであることを覚えておきましょう。言葉の順序が変わるだけで印象が大きく変わるので、常に顧客主体で接客は進めることが大切です。

 このように学びが深いランチになったのですが、大将個人についてもとてつもなく驚いたことがあったのでご紹介します。それは、修行をしたことがない、ということです。元々サラリーマンをしていて寿司が大好きで寿司店を始めたとのことでした。新しいチャレンジをするには背景(経験)がなくても飛び込めるんだと心底感動しました。だからこそ既存のセオリーを飛び越えた感動を提供する寿司を握ることができるのだと感銘を受けました。

 ファンを作るためには下積み経験も大切ですが、それ以上に寿司が大好きで研究を重ねていったというプロセスにご自身(私自身も含めて)の仕事でも置き換えられることがあるのではないかと感じました。それこそ業界経験が長くても業界の慣習に染まってしまい新しいチャレンジをするにしても「それは無理」「それは難しい」とすぐに諦めるのではなく、「どうしたらできるのか?」と可能思考を持つことが重要ですよね。特に時代が大きく変わりつつあるコロナ渦であればなおさらです。

1日1食、水分摂取量まで徹底、店主の驚異の自己管理術

 既存のやり方に縛られないことが結果的に2ヶ月先まで予約が取れないほどのファンで溢れる繁盛店になったわけですが、大将の寿司への情熱と同じくらい力を入れていたのが「自己管理」です。なんと30代前半から主治医についてもらい、1日1食で運動もせず、水分摂取量まで徹底している姿にはストイックすぎて言葉を失いました。

 理由は「大好きな寿司店を80歳まで続けたい!」という強い思いからだそうです。「僕のキャリアは80歳がピークで、そこからは寿司の学校をやりたい」とおっしゃっていました。「1日16時間寿司のことだけを考えているからこそ健康な肉体と安定した精神が技を磨く(個人的な解釈がかなり含まれていると思います)」

 この話には痺れました。すべては自分の仕事のパフォーマンスを最大化させるためにどんな毎日を過ごすべきなのか?を勉強し徹底する姿勢です。ここから学べることはたくさんあります。

 とはいえ、「あなたもこの瞬間から大将のようにストイックに毎日すごして仕事のことだけ考えろ!」と言うつもりは全くありません。私も至らないところだらけなので押し付ける権利もありません。

 しかし、今回の連載の意図は読み取ってください。紹介したのは富山県で一番の有名店であり、県外から顧客が押し寄せるほどファンで溢れる店です。「いったいどんな店なのか?」を私なりに解説させていただきました。「仕事人はプロであれ!」をまさに体現している姿に感動して、料理はさることながらまた大将に会いたい!と思ってしまい、富山に行く予定などないのに、10月にまたこのお店を予約したのです。

 あなたの店に出会い、あなたとの対話を通してまた次回の来店を約束するお客さまがいたとしたら、最高に嬉しいことではありませんか。しかもそんなお客さまが増えていったとしたら・・・ そんなお店にしたい、そんな人になりたいと思うのだとしたら、今回の大将のエピソードから、「ファンづくりの極意」をきっと学べると思います。

 私自身も日々精進してもっと読者の皆様に貢献できるよう心技体を磨き続けていきたいと思います!押忍!!

 

なりた・なおと
19歳でABCマートアルバイト個人売上日本一を獲得。マネージャーになり昨年度対比1位、2位の原動力となる。その後、PC専門店PCデポに入社し、7ヶ月で個人売上1億円を達成。翌年、「良い」よりも「成果が出る」をモットーに小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社「株式会社FamilySmile」を創業。現在は、一部上場企業を中心にコンサルティング・研修・講演を手がけ多くの店舗で昨年度対比120%を達成。中には、3年で売上2倍になる店も続出するほどコンサルティングには定評がある。その功績が認められ日本三大褒章の一つ中小企業のノーベル賞と言われる「東久邇宮文化褒章」を受賞。セミナー講師ナンバーワン決定戦「S-1グランプリ」初代グランプリを獲得。