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感染症予防関連マーケットが拡大する理由を日本チェーンドラッグストア協会池野会長が語る

日本チェーンドラッグストア協会(以下、JACDS)は6月17日、第21回通常総会を開催し、2020年度の事業計画と組織人事を満場一致で承認した。組織と人事に大きな変更はないが、事務総長の今西信幸氏が日本ヘルスケア協会の会長職に専念するため退任し、田中浩幸氏が引き継ぐことが決まった。6月19日、池野隆光会長は定例合同記者会 (オンライン)で会長就任からの1年を振り返った。本稿では池野隆光会長の発言を抄録する。

日本チェーンドラッグストア協会 池野隆光会長

ドラッグストア10兆円産業へ向けて着実に前進

 「考えてみるとあっという間の1年だった。今年になって新型コロナウイルスの感染拡大が始まった。私だけかもしれないが、危機に際してのこの国の脆ぜいじゃく弱さを思い知らされた感じがしている。そうはいっても、さまざまな問題を国のせいにしないで、自分たちで営業活動を活性化し、新たな局面を切り開いていきたい」

「感染拡大の中で、JACDSは日本薬剤師会や日本保険薬局協会と連携し、情報共有や新型コロナウイルス対策の共同ステートメントを発表できたことは大きな進歩だと思っている。また、SDGs推進委員会(塚本厚志委員長)が中心となり、レジ袋の有料化を業界として取り決めて、スタートできたのはとても大きな意義がある。JACDS加盟各社の意識の高さをとても誇りに思っているところだ。医薬品登録販売者の試験についても、登録販売者委員会(浦上晃之委員長)を中心によく動いていただいている。それぞれが確実に行動に移していただいていることに対して、本当にありがたく思っている。JACDSは設立21年目を通過点として、10兆円産業という大きな目標に向けて、この困難な状況の中でも着実に前進していると感じている。業界団体として社会のさまざまな問題に立ち向かっていく行動が積み重なっていくと、『尊敬される企業集団』としての地位を確立できるだろう」

――レジ袋有料化は7月1日の制度開始に先立ち、4月1日からドラッグストア(DgS)5137店舗でスタートした。5月末現在、5896店舗でレジ袋が有料化された。7月1日からはJACDS加盟の約半数の店舗でレジ袋が有料化される予定だ。

「レジ袋有料化は“言うは易く行うは難し”で、実際に行うのはそれなりの苦労がある。JACDS事務局によると、DgS業界が1年間に使用するレジ袋は約33億枚。これを平積みすると富士山の18倍の高さになる。4月から(有料化を)先行実施したDgS企業のレジ袋辞退率は6080%DgS全店舗がレジ袋を有料化すれば、社会に対して大きな貢献になると考えている。レジ袋有料化はSGDs推進の一環だが、返品や食品廃棄の問題に対しても、業界の枠を超えて、さらにはメーカーさまや卸売業さまと一緒に取り組んでいきたい」

衛生に対する意識が高まる

Zephyr18/ istock

――新型コロナウイルスはいまだ収束の気配を見せない。

「ウィズコロナ、アフターコロナはどうなるかとよく聞かれる。一人ひとり価値観が異なるので一概にはっきりとはいえないが、間違いなく変わっていくのは衛生に対する意識だろう。日本だけではなく世界的に強まると考えている。今ではみながマスクをして、1日何回も手指を消毒している。このような環境はずっと続くだろう。そうすると感染予防関連のマーケットは大きくなっていく。一方で、衛生に対する意識が高まった結果、今年の13月は風邪薬があまり売れなかった。多くの人が家で過ごしたり、外出時はマスクをして手指の消毒をしたり、予防を徹底した結果だ。働き方も変わっていくので、消費のあり方も当然変わっていく。アフターコロナを予想するのはとても難しいが、さまざまなものが変わることは間違いない」

――DgS業界の来年春の新卒採用の状況について。

「業界全体を把握しているわけではないが、各社とも前年と同じ程度の採用数を計画しているようだ。DgS業界はまだまだ人手が足りない状況だと考えている」