[ロンドン/ロサンゼルス 9日 ロイター] – 仏シャネル、ロレアル、米レブロンなど大手化粧品メーカーは一部製品にタルク(滑石)の使用を中止している。安全性を巡る消費者の懸念が高まり、訴訟が起こされていることが背景にあるとみられる。
ベビーパウダーや化粧品などの原料であるタルクに発がん性のあるアスベストが含まれていることへの懸念から、消費者や規制当局、メーカーの間でタルクの使用を見直す動きが広がっている。
ロイターが入手したシャネルの訴訟に関する文書によると、同社は2017年にボディーパウダーについて、タルクの使用を中止した。
同社は16年に初めてタルクを原料とする製品を巡って訴訟を起こされた。
シャネル側は証言録取でタルクは安全な製品だと認識しているが、消費者のマイナスイメージを踏まえて判断したと説明している。アスベストの混入は否定した。同社はルースフェイスパウダーへの使用も中止したという。
一方、プレストパウダーやアイシャドウなどにはタルクが使われている。同社はロイターに、使用しているタルクは厳格な基準に基づいて選別され、各国の規制にのっとっており、化粧品への標準的な使用について安全基準を満たしていると主張した。
レブロンの広報担当者はロイターにボディケア用品にはタルクを使っていないと述べたが、使用をやめた時期や理由は明らかにしなかった。
ロレアルの広報担当者はロイターに電子メールでタルクに代わる原料を探しているが、同等なものは見つかっていないと説明した。また原材料の納入業者に毎年アスベストが含まれていないことを証明するよう求めているほか、社内でも試験を行っているとした。
ドイツの美容製品会社バイヤスドルフは2018年から「ニベア」ベビーパウダーにタルクの代わりにコーンスターチを使っていると明らかにした。