セブン&アイ・ホールディングスが、将来の成長に向けた戦略的な新業態「コンフォートマーケット」1号店をオープンしてからわずか10ヶ月。鳴り物入りでオープンしたこの新業態を5月末に閉店(うち1店舗は一時休業)することがわかった。
「コンフォートマーケット」を運営しているのはセブン&アイ・ホールディングス傘下のフォーキャスト。「コンビニでもない、スーパーでもない、新たな形のフードショップ」を謳う新業態として1号店「コンフォートマーケット中延店」がオープンしたのが2019年8月。売場面積は1~2階合わせて566㎡とコンパクトで、フルセルフレジのほか、専用スマホアプリで注文・決済した商品を店内で受け取れる仕組みを導入した斬新なストアコンセプトにより、オープン日から多くの業界関係者が押し寄せた。大いに注目された店舗と言って良い。
ただし、生鮮3品と総菜売場が別のフロアにあったり、取扱い商品が約5000品目と少ない上、一般的なSMで取り扱う商品が一部ないなど、普段使いのSMとしては使い勝手の悪さを指摘する声も少なくなかった。
今年3月には、そうした1号店の課題を見直した2号店「コンフォートマーケット西馬込店」をオープンしたばかりだった。
フォーキャストでは5月2日、中延店を5月31日付で閉店、西馬込店を同日付で一時休業(再開は今夏を予定)することを発表した。
同社はその理由として、6月1日に同じくセブン&アイグループ傘下のヨーク(6月1日にヨークマートより商号変更)と合併するためとしている。
将来に向けた戦略的な業態開発はあえなく失敗となったのか、それともここで得られた知見を次なる業態開発に生かすのだろうか。