あなたはいくつ備える?AI時代に生き残るビジネスパーソン3つの条件とは
2024/12/17 05:54
河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
今回は2024年の個人的な振り返りと2025年に行うことについて書いてみたい。その内容は、そのまま、AI時代で激変する労働市場において「生き残るビジネスパーソンの条件」にもなっているので、ぜひ読んでもらいたい。
metamorworks/istock
特殊なスキル持ち、プロじゃないと生き残れない!
2024年は、私にとって色々な意味で変化の激しい年だった。数年前に患った大病を本当の意味で克服し、「人生の優先順位」を変えた年のはずだった。遺書を書くまで追い詰められながら取り戻した「私の命」を「家族と健康のために使う」と誓って早5年。結局は毎年、大きなターンアラウンド案件が私の元に指名で舞い込んできてしまう。凄惨な現場で苦しむ従業員の姿を見るたびに、「河合さん以外にお願いできる人はいない」と説得されるたびに、結局はこの戦いの最前線に戻ってしまうのである。
あれほど強く誓いながら戻ってしまう自分に対して私は、「つくづくバカな人間だ」と思ってしまう。
2024年も、朝から晩までハンズオンで再生を支援し、月曜から週末まで働きつづけた。最初と最後にしか顔をださないコンサルタントが今増えているが、私から言わせれば、それはコンサルタントではないと思う。そういう仕事のやり方を私はしたことがないし、60になっても、70歳になっても変わらないと思う。その多忙の合間を縫ってのテレビ出演も23年、24年と相次いだ。それも24年はNHKから世界に向けて英語で3時間語る番組への出演だ。
さてこのようにあわただしく日々を過ごす私がいま強く思っていることが、「ファーム」と「オーガニゼーション」の違いと、AIの進展に伴う「働き続けられる人の条件」だ。
「ファーム」は個人事業主の集まりで、基本的に個人が自分の力で仕事をし、自分の能力で付加価値を与える集団である。だから、パートナーシップといって、パートナーは共同経営者として一人ずつ出資金をだしてファームを運営する。
つまりファームで働く人は、「自分の名前」で仕事ができる人の集団なのだ。対してオーガニゼーションは、いわゆるサラリーマンの集まり。会社の名前で仕事がきて従業員に仕事を渡す。給与は保証され、仕事も保証される。
これからの時代、サラリーマンはAI 開発技術のような特殊なスキルをもっていないかぎり、生きてゆくのはどんどん難しくなると私は思う。なぜなら、AIやロボティクスという技術が、定型処理や反復処理などの従来の仕事に取って代わるからだ。
よほど「皆がハッとする」切り口から物事を考えられる能力や、常人とは異なる経験をしている、あるいはある種の分野の一流人材でなければ、基本的には働く場はなくなってゆく。そんな時代がもうここまで来ているのである。
そうしたなかで私の残されたミッションは、私が関わる企業や友人、そして、クライアント達を「プロ集団」にすることだ。先述の通り、これからの時代は「プロ」しか生きてゆけないからだ。
プロとは、①個人の名前で仕事を行い、②個人に値段がついている人をいう。「XXX会社に勤めています」といって、相手を「ほ〜」と唸らせる時代はもはや終わったのだ。「私はもう40歳を過ぎているから……」という言い訳も通用しないし、40歳を過ぎても学べることはたくさんある。余計なプライドを捨てれば、自分より一回りも二回り若い人の下で働くこともできるのだ。
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私が2025年、「今後1年、服を買わない」と宣言するに至った理由
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さて、話を「2025年の計」に戻したい。
2025年はいろんな生活の変化を楽しんでみたいと思う。
2024年は12月に部屋の掃除をしたところ、巨大なゴミ袋4つ分の服が出てきたので全部捨てた。
私は服好きだから暇があれば服を見に行き、つい買ってしまうことが多い。実は私はクローゼットを3つ持っている。一つは「今使うもの」、2つ目は「コートなど大物をつるしておく」もの。そして3つ目が、マンションの地下1階にある「別の季節に着るワンセット」だ。この倉庫と自分の部屋のクローゼットは、秋冬と春夏で入れ替えることにしている。
似たようなものばかり、山のような服があるのを見て、「もう当面、服はいらない」と悟ったのである。
そこで、2025年は「一切服を買わない年」にしてみたいと思う。かなりベーシックで着回しの効く服ばかり集めてきたので、おそらくあと2~3年は買わなくても大丈夫だと感じた。
服好きだけに私は気づくのが遅れたが、おそらく多くの日本人は同じ気持ちなんだろう。インバウンドを除けばアパレル業界の不振がささやかれているが、背景には「もう、これ以上の服は不要だ」という消費者のメッセージが隠れている。
私自身、これ以上何が欲しいのかといわれても、幸せで楽しい生活を望む以外には、強い物欲は何もない。楽しい人生というのはモノを所有することではないし、高齢化社会というのは、ある程度欲しいものは手に入れた人達で構成されており、彼ら、彼女たちは物欲より体験欲、旅行だったり趣味だったり、そういうものにお金を使うようになるものだ。
私自身、そういう意味で2025年は服を買わない宣言をしたいと思う。
もう1つ、行いたいことは、「美意識を鍛える」ということだ。ビジネスをするうえで、人を動かすためには合理性も大事だが、人の心を動かし説得する、シンプルで美しいコンセプトが不可欠で、そのためには美意識が大事だからだ。
本来ならば油絵を再開したいところなのだが、広い場所も必要だし、匂いもものすごいことになるから、国内旅行がてら、きれいな風景をカメラで切り取りたいと思っている。
こうした取り組みはいまの若いビジネスパーソンにもお勧めしたい。いまの若いビジネスパーソンは、残念ながら「リベラルアーツ」に疎い人が多い。そういう人では、経営者など一流の人達との会食の場には呼びづらい。世の中の遊びにも事情にもビジネスにも精通している一流経営者と、まともな会話にならないからだ。絵でも音楽でも哲学でもよいが、「この人は魅力的だな」と感じる人はリベラルアーツに一家言もっている人が多い。
AI時代に生き残るビジネスパーソンの条件
最後は投資だ。
2025年、消費を可能な限り抑えて、投資に没頭したいと思う。「将来不安から投資をすべし」というあおり記事が多いが、これはとんでもない話だ。投資の成功確率は、その人の知性と比例する。経済や社会を学べば学ぶほど、投資で成功する確率は高くなる。メディアは「億り人」などといって、宝くじにあたったような人を必要以上にフィーチャーしているが、あんなものは真似する必要もなければ、うらやましがる必要もない。FXなど投機性の強いものは、素人が手を出せば宝くじに近い確率になり、これはほとんど「投機」だる。経済の勉強をし、「知的ゲーム」の感覚で行うのが投資だ。
投資というのは、楽しみながら、そして、自分の戦略を試しながら行うものだ。最近は、アメリカのトランプ大統領が奇想天外な発言や行動を繰り返し、一定の法則で儲けることが難しくなってきた。私も、2016年以前は年率20%増程度のパフォーマンスをあげていたが、2024年はそのレベルには到達できなかった。
しかし、投資というのはこういうときがチャンスなのだ。一般的な人は、株価が上がりメディアが「億り人」などと煽りだしたときに投資(実際は投機)に手を染め、プロにごっそり資産を持って行かれるいいカモだ。
まとめると2025年は、なにはともあれ健康に気をつけること、無駄な消費、生産性のない酒や遊びの廃止を徹底したい。くわえて、①美意識の向上、リベラルアーツなどの本を読む、②旅行と食事による美しいものへ触れる機会を増やす、③世界経済を見渡して自分の資産管理を全面的に見直す、の3つを目標にしたいと思う。
最後に本稿のタイトルの答えを、まとめることで結びとしたい。すでに本稿内で説明済みだが、AI時代に生き残るビジネスパーソンの条件は以下のとおり。
①自分の名前で仕事ができる「プロ」であること、②余計なプライドをもたず、年下からでも学べる意欲的な人材であること、そして③リベラルアーツを身につけていること、の3つである。
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株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院
著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言
筆者へのコンタクト
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