セブン-イレブン・ジャパン(東京都/永松文彦社長:以下、セブン-イレブン)は2024年8月より、即時配送サービス「7NOW」の対応店舗を拡大するとともに、全国200店舗でピザの宅配を開始する。7NOWの商品ラインアップにピザが加わることで、顧客接点と利用頻度の向上を図る考えだ。本記事では、ピザ参入の背景や7NOWサービスの利用状況についてレポートする。
全国200店舗で宅配ピザを開始!
セブン–イレブンは、同社の即時配送サービス「7NOW」上でのピザ販売を開始し、宅配ピザに本格参入する。同社はこれまで首都圏の約30店舗において、ピザを実験的に販売してきた。これを24年8月以降、九州や北海道を含む全国200店舗に拡大とともに、ピザのデリバリー販売をする。
販売するピザは「マルゲリータ」(税込780円)と「照り焼きチキン」(同880円)2種で、オーダーを受けてから冷凍生地を店内で焼成し、出来たての状態で提供する。ピザのサイズは直径20cm程度と1人での食べ切りを想定したサイズとなっている。
ピザの開発に携わったセブン–イレブン商品本部次世商品開発シニアマーチャンダイザーの赤松稔也氏は「よりおいしくピザを焼くために、焼成機の開発を進めている。販売実績を積み上げ、いずれはセブン–イレブン全店で宅配ピザを販売したい」と語る。
販売価格については現在780~880円と、スーパーマーケットとデリバリーピザ大手の中間の設定としているが、今後は付加価値を高め価格を上げることを視野に入れる。取り扱うピザの種類やサイズについても、顧客の反応を見ながら改良することも検討する考えだ。
なお、セブン–イレブンでは現在、東北・関東・東海・九州の840店舗でメロンパンやクロワッサンなど店内焼き上げのパンをテスト販売しており、パンの焼成機はピザと兼用可能とのことだ。
セブン–イレブンによれば、7NOWでは各種ホットスナックが売れ筋になっているという。ホットスナックと同様に即食性の高いピザをラインアップに加えることで、さらなる利用拡大を図りたい考えだ。
赤松氏は「“焼きたて”の象徴であるピザは、デリバリーとの親和性が高い。7NOWという、出来たてでおいしいものをお客さまのもとへ届けられるインフラが拡大する意義は大きい」と語る。そのうえで「ピザはマーケットニーズが高く、客層の幅が広いため7NOWのさらなる利用増加も期待できる」と見る。
7NOW対応店舗を1万6000店へ
ピザの販売拡大と並行して、7NOWの対応店舗も2024年8月から拡大する。
セブン–イレブンでは、17年10月に前身サービスとなる「セブン–イレブンネットコンビニ」の実証実験を北海道で開始、22年2月にサービス名を「7NOW」に改め本格展開した。23年9月には7NOW専用アプリをリリースし、ウェブからだけでなく、アプリからの注文にも対応した。
本格展開後、7NOWは対応店舗を順調に増やしており、現在は1都1道14県(東京都、北海道、関東6県、広島県、九州7県)の1万2000店舗に増えている。これを24年8月までに関西2府(大阪府、京都府)と4県(山口県、鳥取県、島根県、福島県)を加え、1万6000店舗に拡大、24年度(25年2月期)中に全国展開を予定する。北海道や九州ではテレビCMを行うなど、7NOWの認知度向上に努めている。
セブン–イレブン企画本部ラストワンマイル推進部カスタマー戦略マネージャーの由井大輔氏は「当社は全国に店舗網を持つのが強み。7NOWの対象店舗が拡大し、拠点となることで、サービスの価値をより発揮できるだろう」と語る。
セブン–イレブンによれば、7NOWの売上高は対前期比3.58倍と高い伸びを見せている。利用動向を見ると、店舗と異なった傾向が見られている。7NOWの客単価は店頭の客単価(752円)の約3倍となる2234円、買い上げ点数は8.57点と店頭の約2.7倍となっている。利用者の年代では20~40代が最も多く、性別では女性が6割を超える。店舗の利用者の年代は40~50代が中心で、男女比は50:50。7NOWが若い利用者、女性から支持を得ていることがわかる。
「お気軽デリバリー」とコンセプトに掲げる7NOWの強みは、さまざまな場面で気軽に利用できることにある。食品から日用品までコンビニエンスストアで揃える幅広い商品を短時間で届けることができるという利便性が受け、タイパ志向の利用者のほか、体調不良時や買物困難な状況などさまざまなシーンで活用されているという。
今後の展開について、由井氏は「お客さまの日々の生活に寄り添い、気軽に使えるサービスにしていきたい」と語る。