成長著しいドラッグストア(DgS)業界において、1兆円超の売上高で首位に君臨するのがウエルシアホールディングス(東京都)だ。積極的なM&A(合併買収)と新規出店により成長を続け、足元では食品強化型店舗の展開にも力を入れる同社。DgSの好況はいつまで続くのか。その中で同社はどのような成長戦略を描いているのか。松本忠久社長に聞いた。
HBCに特化した「健康ステーション」へ
──現在の事業環境をどのように認識し、今後をどう見通していますか
松本 インバウンドが回復し、2023年5月には新型コロナウイルスが「5類」に移行して、人々の動きが全体的に活発になってきました。幅広いカテゴリーを品揃えするDgSは総じて好況ですが、「この状況がいつまで続くのだろうか」とやや懸念しています。
これがやがて一巡して景気後退の局面に入ると、企業姿勢や売場づくりがお客さまからより厳しく評価されるようになるでしょう。そこでウエルシアグループは、お客さまから積極的に選ばれるDgSになるため、HBC(ヘルス&ビューティケア)に特化した「健康ステーション」の実現に向けて邁進しています。
──大都市圏と地方ではどのような違いがみられますか
松本 人口が少ない地方では、商圏がより広くなります。広域から多くの患者が通院する大規模病院への動線上では、フルラインで品揃えしてワンストップショッピングのニーズにも応える調剤併設店舗を出店しています。
地方でも、大都市圏と同様、中心市街地により多くの人が集まりやすく、ターミナル駅や百貨店の近くの店舗で売上が伸びています。このような立地には集中的に出店していく方針です。
インバウンド消費は従来、特定の地域や店舗に集中していましたが、このところ地方にも広がってきました。外国人観光客が全国どこでも一番便利な店舗を利用できるよう、足元では免税店を急速に拡大させています。
──「健康ステーション」の実現に向けて、どのカテゴリーに注目していますか
松本 ベビーのカテゴリーはこの3年にわたって対前期比2ケタ増のペースで伸び続けており、有望視しています。その背景として、
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