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第3回 食品・消費財メーカーは自社の特性を生かしてSDGsに取り組む

小売業のSDGs

SDGsに注目が集まる昨今、すでに企業活動に取り込んで実践している企業がある。そこで、各企業のCSR報告書や農林水産省のSDGs特別サイトなどを参考に、小売業における主な取り組み事例を紹介する。

自治体と協働して社会課題解決を図る

日本ケロッグと滋賀県甲賀市が協働して実施した「こうか・こども朝活サロン」。朝食欠食率を低減するために、シリアル朝食を提供

 日本ケロッグ(東京都/井上ゆかり社長)は、滋賀県とタッグを組み、SDGs推進に向けた取り組みとして、19年8月、「こうか・こども朝活サロン」を実施した。これは子供の朝食欠食改善をめざすもので、滋賀県甲賀市において、朝食欠食率が高まりやすい夏休み期間に開催。子供たちが気軽に栄養バランスの優れたシリアル朝食にアクセスできる環境を提供するとともに、市内ボランティアによる学習サポートも実施した。

 また、甲賀市が進める多文化共生推進計画とも連動し、市内で増加傾向にある外国人家庭の児童や生徒に向けても展開。外国人家庭においてなじみの深いシリアル朝食を架け橋に、日本人と外国人の子供たちが朝食を通じて交流できるユニークな支援プログラムとなった。

 一方、日清食品(東京都/安藤徳隆社長)は深刻化する地球温暖化問題に対して、「カップヌードル」ブランドで使用する容器に「バイオマスECOカップ」を採用することを決めた。「バイオマスECOカップ」とは、容器に使用している石化由来のプラスチックを植物由来のバイオマスプラスチックに一部置き換えることで、業界初、バイオマス度を81%に引き上げた容器だ。

業界初のバイオマス度80%以上を実現した日清食品「カップヌードル」の「バイオマスECOカップ」

 もともと「カップヌードル」は環境に配慮した容器の採用には積極的であり、発売当初は発泡スチロール製の容器だったものを、08年に再生可能資源である紙を使用した「ECOカップ」に変更。そして今回、CO2問題への取り組みを強化すべく、「バイオマスECOカップ」の導入に踏み切った。これにより「ECOカップ」に比べ、1カップ当たりの石化由来プラスチック使用量をほぼ半減、焼却時のCO2排出量を約16%削減する。19年12月から順次開始し、発売50周年を迎える21年度中には全量の切り替えが完了する予定だ。

健康な体ときれいな水を海外でも広げていく

 持続可能な社会の実現のために、さまざまな企業が注力するなか、1989年の創業時からSDGsに対応した取り組みを行ってきたのが、シャボン玉石けん(福岡県/森田隼人社長)だ。「健康な体ときれいな水を守る。」を企業理念に、人と環境にやさしい無添加石けんの製造・販売を通じて、社会に貢献し地球環境の保全を図ってきた。また、企業としての社会的責任を自覚し、企業および地域活動の持続的発展に努めることも基本方針に据えている。

 そうした同社のSDGsの取り組みのひとつとして挙げられるのが、「1% for Natureプロジェクト」だ。人気商品である「シャボン玉浴用3個入り」の売上の1%を人と環境にやさしい活動に寄付するというもので、支援先は公益財団法人 屋久島環境文化財団や認定NPO法人 アレルギー支援ネットワークなど多岐にわたっている。

 国内だけにとどまらず、海外にも広げており、ミャンマーでの「命の水事業」井戸建設の支援もそのひとつ。現地では上水道や井戸などが整備されておらず、安全な水を利用できない地域がある。汚染された水を飲んで感染症を引き起こし、命を落としてしまう子供が少なくない。モーターで地下水を汲み上げる大型井戸を1基建設できれば、約1500~2000人の命が助かるといわれている。

シャボン玉石けんが「1% for Nature プロジェクト」を通じて、ミャンマーで井戸建設を支援

 そこで同社では井戸建設を支援し、安全な水の提供に努めている。同社だけでなく、商品を購入した消費者もパートナーにした支援プロジェクトはステークホルダーからの評価も高く、今後も継続していく考えだ。

この項、終了。次回は12月23日公開予定。