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個店対応力を磨き、ID-POSデータ分析に本腰!取引先が明かす、大阪・万代が強い理由

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激変のフェーズに入った関西小売市場において、万代が躍進する理由とは何か──。本誌では、同社と取引のある某メーカーの社員2名(Aさん、Bさん:仮名)に協力してもらい座談会を開催。取引先としての視点で、万代の強みについて語ってもらった。

「ふつうのSM」を「個店で追求」する強さ

──まずは、関西エリアの食品スーパー(SM)市場の現状についてどう見ていますか。

Aさん 関西エリアのSM市場はコロナ禍で大きな分岐点を迎えました。かつて関西を代表するチェーンだった関西スーパーマーケットはオーケーとの“買収騒動”を経てエイチ・ツー・オー リテイリング(以下、H2O)に、光洋、マルナカ、山陽マルナカなどもイオングループとしての色が強まり、それぞれのカラーがやや薄れている印象があります。また、阪急オアシスや近商ストアのような、駅前立地に多くの店舗を展開する電鉄系SMは、コロナ禍での鉄道利用客減少の影響をもろに受け、苦戦しました。

 他方、阪神エリアを拠点とするマルハチや北摂(大阪府北部)エリアを中心に展開するマルヤス、主に神戸エリアで小型店を展開するトーホーストア(兵庫県)といったローカルSMは地域に根差した魅力ある店づくりによって一定の支持を安定的に得ているものの、近年は店舗数がほとんど増えておらず、存在感が大きいとは言えません。

Bさん そうしたなかでの首都圏の有力チェーン進出は、市場に大きなインパクトを与えているのは確かです。ロピアは20年の関西進出以降、着実に店舗数を増やしていますし、24年に関西1号店をオープンするオーケーも、自力出店に加えM&A(合併・買収)の可能性も取りざたされています。関西のSMチェーンは大なり小なり、警戒度をアップさせているはずです。

──そうした市場環境のもと、万代はどのような戦略で成長を図ろうとしているのでしょうか。

Aさん まず、万代は生鮮食品を軸とするSMです。この点は以前から変わっていません。しかし近年は、とくに青果部門と鮮魚部門の進化に目を見張るものがあり、入口付近で青果の特売品を大量陳列して安さを訴求したり、ライブ感を演出しながら鮮度の高い魚を対面販売したりといった取り組みが各店で行われています。それと並行して総菜の強化や冷凍食品の拡充、プライベートブランド(PB)「万代選品」の商品開発などにも取り組み、顧客の支持を集め続けているのです。

 「そんなのSMとして当たり前じゃないか」と思われるかもしれません。しかしその「当たり前」を追求し続けてきたのが万代の何よりの強みであり、競合するSMに対する優位性になっていると思います。

「ふつうのSM」を「個店」で追求するのが万代の強みの1つだ

Bさん 私が直近で注目しているのは若年層への対応です。

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