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ライフの生鮮配送が開始したばかりなのに、アマゾンがプライムナウがひっそりと縮小した理由を考える

アマゾンジャパン(東京都)の有料会員向け即時配送サービス「プライムナウ」の対象エリアが大幅に縮小する。プライムナウといえば、国内で初めて食品スーパーのライフコーポレーション(大阪府)と提携し、9月12日に生鮮食品や総菜の配送サービスを開始したばかり。ひっそりと発表されたプライムナウ縮小は何を意味しているのか。

 9月中旬――。プライムナウのアプリを開くと、トップページに「Prime Nowに関する重要なお知らせ」と大きく掲載されていた。タップしてお知らせをの内容を確認してみると、

・9月15日以降、これまで朝8時~深夜0時までとしていた配送時間を10時~18時に短縮する

・10月31日をもって、東京都10区(板橋区、中野区、北区、豊島区、文京区、荒川区、足立区、新宿区、練馬区、杉並区)を残して、プライムナウのサービス自体を終了する

と記されていた。Amazon.co.jp 内のプレスリリースのページを見ても本件に関する発表はなく、まさにひっそりとサービスを縮小させる格好だ。

 プライムナウが日本でスタートしたのは、2015年のこと。注文後最短1時間で商品が届くサービスはローンチ当初から多くの注目を集め、当初は東京都内の一部エリアのみを対象としていたが、順次エリアを拡大。199月時点で東京・神奈川・千葉・大阪・兵庫にまで対象エリアを広げている(どの都府県も全域ではなく一部の市または区での展開)。これを、10月31日に東京都10区を残してすべて終了するというのである。

ライフ×プライムナウは東京都7区 この先はどうなる?

 また、先立つ195月末、アマゾンジャパンは食品スーパー国内最大手のライフコーポレーションとの協業を発表しており、912日にライフが扱う生鮮食品や総菜などをプライムナウのラインアップに加えている。ライフ商品の対象エリアは東京都7区(新宿区・板橋区、練馬区、北区、中野区、豊島区、杉並区のそれぞれ一部)で、アマゾンジャパンのリリースによれば今後は順次エリア拡大をしていくとしているが、プライムナウ自体が縮小することを踏まえると不透明な状況だ。

9月12日からライフ商品がプライムナウのラインアップに加わっている

 配送に関するサービスについていえば、アマゾンジャパンは918日、専用ロッカーや小売店のカウンターで注文した商品を受け取ることができる新サービス「アマゾンハブ」をスタートすると発表している。年内を目処に東京と神奈川の約200カ所にロッカーを設置し、2020年以降はこれを全国に拡大するという。

 お客の自宅や指定した場所に商品を届けるプライムナウよりも、アマゾンハブは物流面の負担が少なく、物流費高騰が続く昨今の事業環境を鑑みたサービス展開と見ることもできる。プライムナウ縮小とほぼ同時期に発表されたアマゾンハブのローンチは、即時配送の拡大ではなく、商品の受け取り場所・方法を充実させることによってお客の利便性を追求するという、アマゾンジャパンの戦略シフトと見るのは早計だろうか。

 海外に目を向けてみると、つい先日にアマゾンUKが提携関係にある英食品スーパー大手のモリソンズとともに、プライムナウの配達エリアを拡大すると発表、サービス縮小に向かう日本とは対照的な動きを見せている。

 アマゾンはこれまでもいくつもの事業から撤退しており、事業撤退の意思決定スピードは早い。リアル小売業はアマゾンの変化についていけるか。依然として、アマゾンの一挙手一投足から目が離せない状況が続いている。