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アングル:消費者心理悪化止まらず 値上げも直撃 10連休・改元に期待

4月8日、4月発表の消費者心理に関連した指標の悪化が目立ってきた。係数の低下傾向は1年超継続してきたが、3月分のデータはいずれも2016年以来の低水準に落ち込み、心理面では「緩やかな回復」から「弱さ」を意識させる局面にさしかかってきたと言えそうだ。ただ、10連休や改元など消費が活発化すると期待されるイベントが控え、関連業界はそうした「特需」に望みをつないでいる。都内で2015年撮影(2019年 ロイター/Thomas Peter)

[東京 8日 ロイター] – 4月発表の消費者心理に関連した指標の悪化が目立ってきた。係数の低下傾向は1年超継続してきたが、3月分のデータはいずれも2016年以来の低水準に落ち込み、心理面では「緩やかな回復」から「弱さ」を意識させる局面にさしかかってきたと言えそうだ。ただ、10連休や改元など消費が活発化すると期待されるイベントが控え、関連業界はそうした「特需」に望みをつないでいる。

内閣府が8日発表した3月消費者態度指数は、6カ月連続で前月比低下となり、16年2月以来の低水準に落ち込んだ。

また、同日発表の3月景気ウォッチャー調査も、前月から大幅に低下して16年7月以来の低水準となり、先行きも低下した。判断に関する表現から、前月までの「回復基調」との文字は消え、「弱さがみられる」に下方修正した。

先立つ5日に日銀が発表した3月の生活意識に関するアンケート調査でも、1年前と比べて景況感が「良くなった」と答えた割合から「悪くなった」の割合を引いた景況感DI(指数)は、3期連続で悪化。DIの水準は16年12月調査以来の低さだった。

内閣府は、4月に身近な食品の値上げが控えていたことや、直近での海外減速に伴う輸出減少などで、企業の景況感が悪化していることも影響しているとみている。

ただ、消費者マインドの悪化傾向は、すでに昨年初めごろから歯止めがかからない状況が続いている。

背景には、実質可処分所得の減少傾向がありそうだ。家計調査における勤労世帯の可処分所得は、物価上昇を差し引いた実質でみると、18年は前年比マイナスとなっている月が7回、うち2%超の減少を示す月が5回あった。

社会保険料の引き上げ、親の介護保険利用料の大幅アップなど、消費者にとって賃金増を打ち消すと感じるほど、急速に負担が増していることも影響しているようだ。

しかも、今年は消費税率10%への引き上げも控える。他方、賃上げ率は連合の集計で正社員も非正規雇用も昨年を下回る賃上げ率にとどまっている。夏のボーナスも全規模(含む非正規社員)ベースで、4年ぶりに前年より減少しそうだ。

みずほ証券によると「昨年夏にボーナスが大幅に増加したため、その反動が想定されるほか、世界経済の減速により、企業業績への懸念が強くなっていることが背景にある」という。

だが、今のところは設備投資や個人消費などに波及していない。SMBC日興証券・チーフマーケットエコノミスト、丸山義正氏によると、今年1─2月の家計最終消費支出推計値は、昨年10─12月期を1.2%上回り、10─12月期の前期比0.5%増をしのぐ勢い。このため「現時点で1─3月期の個人消費について、過度に悲観する必要はないだろう」とみている。

4月以降についても、27日からの10連休と改元が重なるため、景気ウォッチャー調査では「観光客増加や外国人来園、イベント集客実施による客数増加に期待」(遊園地)といった声もあり、明るさが戻るとの見通しも出ている。

そうした中で政府は、増税実施環境を整えようと企業や消費者の「不安」回避に神経を使っている。

経済財政諮問会議は今年1月に続き、3月の会議でも景気の悪化には機動的な財政出動をちゅうちょしないとの姿勢を打ち出した。

経済官庁幹部は「景気は気からだ。その意味で、本当に支出するかどうかは別として、消費者が増税や海外経済減速で不安感を持たないような姿勢を示すことが大事だ」として、景気変調の波が企業部門から消費に波及しようないよう、できる対応は何でもしようとの構えを見せている。

(中川泉 編集:田巻一彦)