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ライフ、上期稼ぐ力維持も23年2月期は業績下方修正…小売業悩ます電気代高騰

食品スーパー最大手のライフコーポレーション(大阪府:以下、ライフ)は10月11日、2023年2月期の上期決算を発表した。過去最大の感染者数を記録したコロナ禍の第7波に続き、ウクライナ情勢を背景とする資源価格の高騰、急激な円安など、難しい経営が迫られた上半期はどのような着地となったのか。

4割の減益!その要因は……

 ライフが発表した2023年2月期第2四半期の連結業績は、営業収益が3775億円(新収益基準適用のため前年同期との比較はなし)、営業利益が対前年同期比41.6%減、経常利益は同40.2%減、当期純利益は同40.5%減だった。新収益基準適用前ベースの連結営業収益は同0.2%増となっている。

 減益の要因は、販売費および一般管理費(販管費)の上昇だ。同期の販管費は、新収益基準適用前ベースで同73億円も増加した。

 ただし、そのうち人件費については、「意識的に『人への投資』を行った」(岩崎社長)とし、正社員の給与引き上げ、パート・アルバイトの時給アップのほか、これまで賞与の対象外だったスタッフにも賞与支給を決めるなど、従業員の処遇改善を積極的に推し進めたことによるものとしている。また、正社員の採用強化も人件費増の一因となった。

 想定外だったのは、ウクライナ情勢を背景とした資源価格の高騰、とくに電気代の上昇だ。「店舗では照明の一部を消灯したり、本部ではエレベーター利用を控えたりなどの努力はしたものの、それでは追いつかない単価上昇があった」(岩崎社長)。

 期中は、首都圏で約45%、近畿圏で約35%、全社では約40%も電気代が高騰し、水道光熱費は前年同期から16.8億円も増えたという。こうしたコスト高が各段階利益を大きく押し下げた格好だ。

「稼ぐ力は落ちていない」

 一方で、決算説明会に臨んだ岩崎高治社長は「稼ぐ力は落ちていない。決して悲観する数値ではない」と述べている。

 約4割の減益となったものの、経常利益は「(巣ごもり需要があった前期、前前期に続く)過去3番目に高い数字」(岩崎社長)を記録。既存店売上高も前年同期との比較では同1.3%減だったものの、コロナ禍前(19年)の比較では、5.1%増と高い水準を維持している。

 粗利益率も、資源高騰・円安影響を受けた水産と畜産がともに対前年同期0.4ポイント減となったものの、そのほかの部門は改善を見せ、食品全体の粗利益率は同0.3ポイント上昇した。

 また、23年2月期通期で売上高200億円を目標とするネットスーパー事業も好調に推移しており、上半期の売上高は同50%増に伸長しているという。「8月単月の実績を12倍すれば、目標(200億円)に近い数字になるところまできている」(岩崎社長)とし、前期通期実績(96億円)を大きく上回るのは間違いなさそうだ。

通期業績を下方修正

 ただし、この先もエネルギー価格・原材料価格が高止まりすることが予想されることから、ライフでは中間決算発表の同日に通期業績の予想を下方修正している。

 修正後の23年2月期通期業績予想は、営業収益が当初予想から70億円減の7630億円、営業利益が同62億円減の17億円、経常利益が60億円減の180億円、当期純利益が40億円減の115億円。いずれもコロナ禍前との比較では高い水準ではあるものの、微減収、各段階利益は20%以上の減益になると見込む。

 10月6日に発表されたオーケー(神奈川)の関西進出についての質問がおよぶと、「(関西に)進出してくるという噂だけが先行していたが、今回の発表によって場所もはっきりした。これで準備ができると考えると逆によかった」と岩崎社長はコメント。続けて、「ただ、関西もこれから人が増えるわけではない。厳しい戦いになるだろう」と述べている。

 終わりの見えないコスト高、値上げ圧力、そして競合の進出とライフが乗り越えるべき壁は多い。食品スーパーのリーディングカンパニーの次なる打ち手は何か。ひとまずは今期の通期決算、そして来年に発表を控える第7次中期経営計画の中身に注目したいところだ。