食品卸は、商品の仕入れや在庫保管、小売企業への配送などを担うビジネスがゆえに、食品ロス削減や物流改善など、取り組むべきサステナブルな施策が多岐にわたる。また、「物流の2024年問題」が迫るなど早急な対策が求められている。そうしたなか大手食品卸の日本アクセス(東京都/佐々木淳一社長)は、中期経営計画の実行策の1つにSDGs(持続可能な開発目標)の推進を挙げ、メーカーや食品小売企業、物流会社など、サプライチェーン全体で連携し、改革を図ろうとしてる。
SDGsの推進で経営基盤の改革へ
日本アクセスは、2022年度からスタートした3カ年の「第8次中期経営計画」において、3つの経営基本方針「成長・競争優位の確立」「収益構造改革」「経営基盤改革」を掲げた。このうち経営基盤改革を進めるうえでの重要施策の1つとするのが、SDGsの推進だ。具体的には、食品ロス対策、CO2 削減、食の安全・安心対策、社会貢献を挙げる。
佐々木淳一社長は「中計という本業の経営戦略の中にSDGsを取り入れたことは当社として新たな挑戦。食品卸のリーダーとして積極的に取り組むべき課題だと認識している」と語る。
同社は長年CSR(企業の社会的責任)活動の一環として、廃棄物のリサイクルや寄付などの社会貢献活動を進めていたが、会社全体として社会課題解決に取り組み始めたのは、20年4月に「SDGs宣言」を発表してからだ。同時期に組織としての推進体制も整備し、「総合企画・ICT管掌下組織」に「広報・サステナビリティ推進部」を新設。20年4月には、専門部署として「サステナビリティ推進課」を設置し、現在部全体で7人体制をとっている。
SDGs宣言のもと、「食品廃棄物」「食品リサイクル率」「CO2排出量」の3つの重点領域を設定し、それぞれ30年度までの数値目標も据えた。食品廃棄物では「16年度比で50%削減(753トンから376トンへ)」、食品リサイクル率では「年間75%以上」、CO2排出量では「13年度比で46%削減(10万3689トンから5万4920トンへ)」と定めた。
また、社員の意識改革にはトップや上層部の姿勢が重要であるとして、部長職以上はつねに胸にSDGsバッジをつけ、日常業務のなかでもSDGsを意識する環境づくりを進めている。
ミールキットに植物肉…製造卸の力で課題を解決
SDGs宣言で掲げる3つの数値目標の進捗状況を見ていくと、
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