徳島県に本部を置き、徳島県、香川県で42店舗を展開するローカル食品スーパー(SM)のキョーエイ(埴渕恒平社長)は、サステナブルな施策として、地産地消商品の充実や移動スーパーなど、地元を活性化・支援する活動・サービスに力を入れている。主な商勢圏である徳島県では人口減少や高齢化が深刻化するなか、行政やNPOなどとも連携した取り組みで地域住民との関係を強化している。
受け継がれる「三方良し」の精神
キョーエイは1958年の創業以来、社是に「市民生活を守る砦となれ」を掲げ、地域密着型の店舗運営で高い支持を獲得してきた。創業者の故埴渕一氏がよく口にしていたのが「住めば都の精神」という言葉。キョーエイのSMがある地域に住んだ人が、都だと感じるような店づくりを行うという意味だ。
また前社長の故埴渕一夫氏は、常に近江商人の心得「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の「三方良し」を意識し経営にあたっていたという。
「当社の経営トップは代々、地域との関係を重視しており、私もその伝統を受け継いでいる。つまり自社の売上、利益だけを考えるのではなく、地域、そして居住するお客さまが、よりよい状態になってはじめて、長く商売を続けられると考えている」。こう話すのは、昨年5月、同社3代目社長に就任した埴渕恒平氏である。
同社商勢圏の状況に目を向けると、他の地方都市と同様、少子高齢化が進行しているのが現状だ。なかでもキョーエイが本拠を置く徳島県の高齢化率は約33.1%と全国平均より約5ポイント高く、国内でも上位8番に入る水準にある。
同時に人口も急速に減少中だ。徳島県の人口は2022年7月現在、約70万5000人。15年の国勢調査と比較して約5万人、約9%も減った計算で、その減少幅は年々、大きくなっている。
マーケットが縮小するのに伴い、徳島県の各地ではSMや食料品店が閉店し、過疎地では日々の食料品の買物さえ困難な人が増えている。そんな地域から活気が失われつつある状態にあるなかキョーエイが展開しているのが、移動スーパー事業だ。13年2月に買物難民対策として移動スーパー「とくし丸」に参画し、現在、徳島県内25台、香川県内3台体制で行っている。
20年8月には、
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