販促活動で集客しテナント売上から賃料を得るのが、ショッピングセンター(SC)のビジネスモデルだ。このモデルが50年の歳月を経て進化したかと言うとそうでもなく、むしろ、テナントとのコミュニケーション強化やモチベーション向上など、ますますアナログな活動に専心するSCが多い。これも悪いわけでは無いが、全てのSCがそこに向かうことが本当に正しいのか。今回はこの命題に向き合いたい。
歩合賃料がなくても変わらない、SC運営のスタンダード
SCのテナント料は、毎月、定額を収受する固定賃料とテナントの売上に応じて収受する歩合賃料を併用するケースが多い。では、SCに出店している全テナントのうち、歩合賃料を支払っている店舗はどれくらいあるだろうか。「あなたの担当するSCで歩合の出ている店舗は何店舗ありますか」という質問に答えられないSC運営者も多い。
今はコロナ禍、思うように営業活動もできず売上不振の続く環境だが、実はコロナ禍前から一部で歩合賃料が発生しないケースは散見されていた。
ただ、多くの契約には歩合賃料が組み込まれていることから、SC側は営業担当やフロア担当を置き、販促活動、店舗巡回、スタッフのモチベーションアップに取り組む。その他、接客ロープレ、ミステリーショッパー、営業指導にも積極的に関与する。これがSC運営モデルのスタンダードであり、目指すべき姿と信じられてきた。
しかし、前出のようにフロア担当に「歩合賃料が出ている店舗は全体の何%ですか、歩合が設定されていない店舗は何店舗ありますか」と聞いてもはっきりした答えが返ってくることはない。要は店舗巡回が目的化してしまっているのだ。
定期借家契約のコンセプト
2000年に登場した定期借家制度は約束された契約期限で確定的に終了する制度だ。すなわち、契約期間中、賃貸人と借家人、どちらがどれだけ汗をかいたか(努力したか)によって次の契約条件が決まる。そのため、テナントに対するハンズオン型の運営モデルを志向することにもなる。しかし、その汗のかき方は一つだろうか。
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