2021年9月に全面改装した「西友荻窪店」(東京都杉並区:以下、荻窪店)は、西友(東京都/大久保恒夫社長)が得意とする価格訴求を維持しつつ、関連販売やメニュー提案、付加価値型の商品の導入にも取り組んでいる好例店舗だ。同店の売場について、食品スーパー(SM)の経営コンサルティングで実績多数のアイダスグループ代表取締役鈴木國朗氏が解説する。 調査日:2022年6月23日、本文中の価格はすべて税抜
青果売場では旬の訴求と価格を両立
荻窪店は、JR中央線「荻窪」駅からすぐの駅前に立地する商業施設「タウンセブン」に入居している。なお、同施設は隣にある「ルミネ荻窪」とつながっており、両施設をすぐに行き来できる構造となっている。都心部に近いことから駅周辺には働き盛りの現役世代が多く居住し、周辺住民の年齢は25~55歳が約半数を占める。駅の乗降客を中心に、徒歩や自転車での来店客が多い。
荻窪店の直営フロアは地下1階から地上4階。テナントも含めた売場面積は1万4182㎡。衣料品や日用品も取り扱う総合スーパー型の店舗だが、本稿では地下1階~地上1階の食品フロアを解説する。
フロアの各出入口には来店客の視線を集めるマグネット売場が配置されている。たとえば、エスカレーターの降り口では「レタス1玉97円」といった特売を展開したり、糖度管理されたメロン3種やスイカを698円の均一価格で販売したりするなど、味のよさや買いやすさを訴求している。青果売場では、土物野菜やサラダ野菜が2ケタ売価を中心に低価格で訴求されている。さらに単品大量陳列で袋入りの新じゃがいもや玉ねぎが198円の均一価格で販売されていた。このように、値入れミックスによってシンプルな価格を打ち出し、安さや買いやすさの訴求に注力しているようだ。
歩行者や自転車利用者が多いという商圏特性に合わせて、土物野菜やトマト、アボカドなどのバラ売りもよく見られた。また、旬や季節感の演出にも余念がない。たとえば、天井から「夏野菜でBBQ」の大型POPを吊り下げ、ズッキーニやナスなど炒め物野菜を中心に平台で展開していた。また、
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