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【独占】Uber EatsとOniGOが提携!戦略と狙いを両社事業トップに直撃!

フードデリバリーサービスを展開するUber Eats Japan合同会社(東京都/武藤友木子代表)と、日本におけるQコマース(クイックコマース)のリーディングカンパニーであるOniGO(東京都/梅下直也社長)は、5月20日より提携を開始すると発表した。なぜ、両社はサービス提携を決めたのか、提携の具体的な内容はどのようなものになるのか、両社のねらいとは。Uber Eats Japan New Vertical 事業部門ゼネラルマネージャーのユリア・ブロヴキナ氏とOniGO代表取締役社長の梅下直也氏による対談をお届けする。※文中敬称略

Uber Eatsアプリ上で、OniGOがセレクト可能に!

対談をお届けする前に、今回の提携の基本的な内容を紹介する。提携のポイントは主に2つある。1つ目は、Uber Eatsのアプリ上から、OniGOの商品を買うことができるようになる点だ。生鮮品をはじめ、グロサリーや日用品など、約1600アイテムが購入可能になる。2つ目は、Uber Eatsの配達員が、OniGOのダークストアまで商品を取りに行き、店舗でのピッキング作業はOniGOの従業員が行う点だ。Uber Eatsの配達員は、OniGOのダークストア※の5店舗(鷹番店/目黒区鷹番、駒沢店/世田谷区駒沢、自由が丘店/目黒区自由が丘、永福町店/杉並区永福町、武蔵関店/東京都練馬区)まで商品を取りに行く。商品を注文してから自宅に届くまでの時間は、30分を目標にしていて、自宅が配達可能エリアに該当するかどうかは、Uber Eats側の需給予測によって決まる。※物販を行わない配送専用の店舗


左:梅下直也
OniGO代表取締役社長
三井住友銀行に入行後、ロンドン駐在などを経て同行を退社。オンライン中古車仲介業カープライスを創業し、楽天に売却。21年OniGOを設立。
右:ユリア・ブロヴキナ
Uber Eats Japan New Vertical 事業部門ゼネラルマネージャー
21年2月から現職。日本のスーパーマーケット、コンビニエンスストアなどレストラン以外の新規領域における事業を統括する。

フードデリバリーサービスで高まる「食品」ニーズ、両社が提携を決めた背景とは

――提携を決めた背景、また、どちらから提携の話を持ち掛けたのかを教えてください。

梅下:どちらから持ち掛けた、ということはないのですが、1月下旬にユリアさんとお話しをさせていただいた際に、お互いが目指している方向性が一致したことで、自然と提携する運びになりました。

当社としては、日本最大のフードデリバリーサービスのプラットフォーマーであるUber Eatsさんとの協働により、消費者の「今すぐ欲しい」というニーズを捉えたいと考えています。コロナ禍で、ECをはじめ、ネットスーパーなど自宅にいながら買物ができる需要が拡大しています。しかし、消費者の「今すぐ欲しい」というニーズに応えられるのは、私たちQコマース(Quick Commerce)の事業者だけです。ネットスーパーを使おうと思ったけど、今日は配送の枠が埋まっていて商品が届くのは明日以降になってしまうケースも少なくない。子育てや介護、仕事で忙しく暮らすなかで、生鮮品や日用品を『家にいながら今すぐ欲しい』と考える消費者は多いのです。

ブロヴキナ:コロナ禍で、日本でもUber Eatsの利用者が増えているのですが、特に、グロサリーや、生鮮品に対するニーズがとても高まっているのを感じています。なぜなら、消費者がデリバリーサービスの利便性を理解し始めたからです。すでにスーパーマーケット(SM)ではマックスバリュ東海(静岡県)や成城石井(神奈川県)と提携を始めていますが、ユーザーの利用頻度が非常に高いです。

特に、SMやドラッグストア(DgS)で食品を購入したユーザー数は直近3カ月間で、利用数が3倍に増えるなど、ニーズの高さを感じています。Uber Eats上でSMを利用する人は、①早く欲しい、②様々な選択肢が欲しい、③特定のブランドの商品が欲しい、と考えているケースが多いことが分かっています。OniGOさんは、これら3つのニーズのすべてを満たすサービスを展開していますので、今回の提携はUber Eats Japanにとっても期待ができる内容になっています。

――ネットスーパーやEC事業者と、OniGOとの違いを教えてください。

梅下;やはり、「ダークストア」を有していて、ピッキング効率が非常に良い点でしょう。OniGOは「10分で届けられる」ことが強みで、約2分で10アイテムをピッキングすることが可能です。一般的なSMやDgSでピッキングをしようとすると、1時間30件ほどのオーダーが入る場合、従業員は2人以上必要です。一方、この「1時間に30件のオーダー」とは、我々のダークストアのピッカーが一人でこなす仕事量です。ダークストアならではの効率的なオペレーションを構築できている点は、「早く届けられる」という意味で、お客さまにとっても価値があるサービスだと思います。

Uber Eats上でOniGOの商品の配達時間は「30分」を目標にしていますが、私たちのユーザーは必ずしも「10分」にこだわっていないことが分かっています。20~30分であれば待つことできるという方がほとんどです。20~30分ですと、外出の準備をして、リアル店舗で買物をして帰宅するまでにかかる時間よりも短時間で済みますしね。

ブロヴキナ:OniGOさんのピッキングをはじめとした、技術的な専門性の高さも、提携を決めた理由の一つです。今後、在庫の連動などを含めた、我々のプラットフォームとのシステムインテグレーションを進めていき、シームレスなユーザー体験を届けていきたいです。

ピッキング作業を行うOniGOのスタッフ

OniGOに馴染みのないユーザーにも利用してほしい

――どのようなユーザーが、Uber Eats上で、OniGOの商品を購入すると期待していますか?

梅下:OniGOアプリでのコアユーザーは、「子育てをしている家庭」が多いのですが、Uber Eatsには多様なユーザーがいるので、より多くの人にOniGOのダークストアの商品を購入いただけると思っています。OniGOのユーザーは、必ずしも他のフードデリバリーサービスを利用しているわけではないことも分かっていますので、これまでOniGOに馴染みのなかった方にもOniGOを体験していただけるのではないでしょうか。

ブロヴキナ:やはり、生鮮品、グロサリー商品の選択肢が増えたことは、Uber Eatsのユーザーにとってうれしいことだと考えています。コロナ禍で、外食のデリバリー需要だけでなく、普段使いの商品のデリバリー需要が拡大していて、この流れ自体は不可逆です。OniGOさんのダークストアの商品は、生鮮品やグロサリー商品のうち、頻度品を揃えていますので、「外出せずに普段の買物を『今すぐ』済ませたい」と考えている方には便利な体験を届けられるでしょう。

――資本提携に踏み込む可能性はありますか?

梅下:まだ、提携を始めたばかりなので、お互いを知る時間が必要かなと考えています。

ブロヴキナ:その点については、今日アナウンスできることはありません。

Uber Eatsのグローバル戦略としてのQコマース、OniGOが目指す「Qコマースの在り方」、ネットスーパーとの競合・・・、2人の対談の続きは、「ダイヤモンド・チェーンストア誌6月15日号」をご覧ください(ダイヤモンド・チェーンストアオンライン有料会員向けに同記事の配信を致します、お楽しみに)。