「BTS(防弾少年団)」「SEVENTEEN」「イカゲーム」「パラサイト 半地下の家族」──。現在、音楽やドラマ、映画などを中心に韓国カルチャーの人気は世界中で拡大している。隣国である日本も例外ではなく、TVやネットなど各メディアで毎日のように取り上げられている。こうした韓国文化の普及を追い風に、日本で成長し始めている韓国食材専門の食品スーパー(SM)が「Yesmart(イエスマート)」だ。本稿では、そんなイエスマートの戦略と今後の展開を解説する。
免税店から業態転換
JR山手線「新大久保」駅から歩いて約10分。日本における韓国カルチャーの“メッカ”として知られる新大久保の中心である「大久保通り」の南方、韓国人が多く居住する「職安通り」に「イエスマート東京都新宿店」(東京都新宿区:以下、新宿店)はある。イエスマート1号店である同店がオープンしたのは、コロナ禍1年目の2020年9月のことだ。
イエスマートの運営企業YESMART(東京都/尹春基社長兼CEO)の親会社である永山(同/張永軾CEO)はもともと免税店事業を営んでおり、そのノウハウを生かし観光サービスや製造業、貿易業なども展開するグローバル企業だ。ところが、コロナ禍で外国人観光客が激減。免税店事業から撤退せざるを得なくなり、日本国内の18店舗すべてを閉店した。
その代わりに新しく始めた事業が、韓国食材専門SMのイエスマートだ。「コロナ禍で海外旅行や現地での買物ができなくなった。韓国文化の普及が急速に進むなか、韓国文化を好む日本人向けに韓国食材を販売するSMをつくろうと思ったのがきっかけだった」(張氏)。
日本国内にあるイエスマート店舗は15店舗(22年4月時点)。免税店からの業態転換で高速出店を実現しており、15店舗のうち約半分は元免税店だ。1号店の新宿店のほか、大阪市や札幌市、福岡市など地方の主要都市を中心に出店している。張氏は今後の出店戦略について、「将来的には一定の人口が見込める都市を中心に224店舗を展開したい。最初は人口50万~100万人の大都市、その後10万人規模の小都市にまで店舗網を拡大していく計画だ」と話す。
店内製造のキンパを展開
イエスマートの主要ターゲット層は、韓国カルチャーを好む日本人だ。新宿店のお客は約8割が若い女性を中心とする日本人で、残りが在日韓国人などの外国人。地方の店舗では9割以上が日本人で、若年層だけでなく家族連れやシニア層も来店しており、幅広い年齢層に支持されている。「韓国旅行をした経験がある人や、『冬のソナタ』など2000年代の韓流ブームにハマっていた団塊世代など、幅広い客層が来店している」(張氏)。
ここからは新宿店を例に、イエスマートの売場づくりを解説する。取り扱い商品は
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