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インタビュー:スシローの原価率、物価上昇でも維持可能=F&LC社長

スシローのユニバーサル・シティウォーク大阪店
スシローを展開するFOOD&LIFE COMPANIESの水留浩一社長は21日、ロイターとのインタビューで、このところの物価上昇の影響は大きく受けておらず、原価率を維持することは可能との見方を示した。写真はスシローのユニバーサル・シティウォーク大阪店」。2021年12月、大阪市で撮影(2022年 時事通信)

[東京 21日 ロイター] – スシローを展開するFOOD&LIFE COMPANIESの水留浩一社長は21日、ロイターとのインタビューで、このところの物価上昇の影響は大きく受けておらず、原価率を維持することは可能との見方を示した。ねたの仕入れ価格が変動しても、メニュー内の品目構成を変えることで、コストを平準化できるとした。昨年値上げしたイクラを再値下げする可能性にも言及した。

スシローは昨秋、イクラを1皿100円から150円へ値上げして話題となった。デフレ下で業績を伸ばしてきた同社の主力メニューの値上げは、インフレ圧力の高まりの象徴として注目を集めたが、水留社長によると、理由はサケの不漁で市況が上昇したこと。食材費の変動は、原油価格などマクロ経済的な要因よりも、漁獲量の影響が大きいという。

水留社長は、漁獲量によって値段が上がる魚もあれば下がる魚もあると説明。「プラス・マイナス両方の要素の中で、メニューの構成を工夫することで、これまで通り一定の原価率でマネージすることがまだ可能」と語った。また、養殖であれば長期契約であるほか、コメの価格も下落基調が続いているとした。

1月の全国消費物価指数によると、ブリの小売価格は前年同月比プラス28.5%、マグロはプラス16.5%だった。一方、アジはマイナス2.7%、エビはマイナス0.1%だった。水留社長は「すしはマーケットプライス、市況。特に大きく値上がりしたアイテムは、そのタイミングだけ少し値段を変えることはありうる」と述べた。

最低単価である100円の皿を中心に選ぶ利用客の比率が高い中、イクラの値上げには当初反発も大きかったが、影響は次第に落ち着いてきたという。水留社長は「未来永劫150円ではない。価格が過去の水準に下がってきたら、100円に戻す可能性は十二分にあるという前提」での値上げだったと語った。

物価とともに上昇が目立つ人件費には、店舗運営の自動化推進で対応する。都市部には、店員が介在することなく客が予約・入店から会計まで可能な店舗を増やしている。水留社長は「例えばピーク時に6人必要だったところが、4人ぐらいで回るようになってきた。キッチンも計画している自動化が実現できれば、2─3割は(コストを)減らせる。人件費が高い地域から優先的に取り組みたい」と述べた。