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第39回 アフターコロナで変わる!ショッピングセンターのテナントミックス後編

SCは、テナントいなけりゃ、ただの箱」、空室では機能も果たせず、収入も無い。それでも商品在庫、販売員、バイヤーなどの固定費を抱える小売業に比べれば損益分岐点売上高は低い。しかし空室が続けば利益は減り赤字となる。だからSCは常にテナントを誘致し、賃料を収受しなければならない。ところがコロナ禍で空室が増えるSCも多い。では今後、どのようなテナントがSCで活躍していくのか。前回に続き考えていきたい。

DGLimages/istock

質問からみる課題意識とSCの提供価値の変化

「テナントの選定基準」
「テナントミックスの策定方法」
「テナントの探索方法」
「将来のテナント変化」
「テナントの出店意欲」
SCとテナントの出店契約に関する力関係」
「賃料の決定方法」

 これらは、筆者が定期的に開催するセミナーで聴講者からよく聞かれる質問だ。見てわかる通り、実務に即しているものが多い。
 ただ、質問者の企業規模、SC店舗数、役職、職種ごとに課題は異なる。これはSC事業が新規の開業物件の他にも改装や買収(もしくは買収を検討する)物件のバリューアップなど、その時々の局面で業務の内容や目標数値や方針などが異なるためだ。

 コロナ禍を経た今、これら質問の中で一番関心の高いのは「今後どうなるのか」。前号でも指摘したがこれまでのSCはアパレルや雑貨テナントを中心に四季や歳時記に合わせ販売促進活動で売り上げを伸ばし、歩合賃料を収受するビジネスモデルをSCのスタイル捉えてきた。しかし、今は、人口減少、少子化、高齢化、温暖化、ECの台頭などに加え、コロナ禍による在宅ワークや行動自粛から消費者の意識も大きく変わっている。この変化に対してSCも変わらなければ16万区画(図表1*テナント区画を埋め続けることは難しい。
*日本SC協会2021年12月23日定例記者会見資料

図表1 全国SCの総テナント数(区画数)                                                                            

 これまでのSCのテナントミックスは、物販(小売り機能)を主とし、その補完機能として飲食があり、そこに教育や医療などのサービス業が加わった。

これまでのテナントミックス

 しかし、2021年開業SCではアパレルの占有率は11.8%まで低下した。様変わりである。
 この環境変化をピンチと捉えるかチャンスと捉えるか、この差は「これまでのことをやり続けたいのか」それとも「これまでのことは忘れ新たに考えるか」この2つに分かれる。この解は、テナントミックスに限定すればSCの機能を拡張するしか解決策は無い。

 

これからのテナントミックスはこうなる

 前項で「テナントミックスに限定すれば」としたのは「SC=不動産×テナント売上高」という既存ビジネスモデルを変えない前提での短期的な解決策という意味だ。だが、その変化は短期的とは言えかなり異質なものとなる。
 ここに共通するキーワードは「自己実現」と「社会課題の解決」の2つである。この2つのキーワードにSCがどこまで「寄り添えるか」もしくは「サポートできるか」ここに変化対応のポイントがある。

 ではどんな機能が今後SCのテナントミックスとして付加されるようになるのか?それを示したのが下図である。

これから付加される機能

 2021年、SCの総数は3,182か所となった。減少は3年連続となりコロナ前から始まっている。この減少傾向は従来のビジネスモデルへの固執やこれまでのテナントミックスに拘る限り、残念ながら止まらない。
 今年も接客ロープレ大会は再開されたが、このようなアナログな活動だけでSCが抱える課題を解決するはずも無く。これから起こる変化に適合できたSCだけが生き残ることになることは火を見るより明らかである。

西山貴仁
株式会社SC&パートナーズ 代表取締役

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。201511月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。岡山理科大学非常勤講師、小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒