[東京 27日 ロイター] – 政府は27日、人件費や原材料価格の上昇を踏まえ、企業間の価格転嫁を促す政策パッケージを取りまとめた。春闘に向けて毎年1月から3月を「集中取組期間」と定め、調査や指導、違反行為への取り締まりを強化する。
具体的には、「価格転嫁円滑化スキーム」を創設。公正取引委員会と中小企業庁が他省庁と連携し、「買いたたき」などを行う事業者を幅広く把握する。来年6月までに、個別の事例や業種別の状況などを公表する。違反が多い業種については、事業者団体に順守状況の自主点検を要請する。
また、価格転嫁の拒否が起きていると疑われる業種を毎年3つ定め、立ち入り調査を行う。下請け取引の適正化を支援する調査員「下請けGメン」を、現在の120人から来年度以降倍増させる。年間1万社以上の中小企業に聞き取りをする。
このほか、下請け企業と公正な価格で取引することなどを表明する「パートナーシップ構築宣言」参加企業への補助金を拡充する。現在は補助金を申請する際、事業再構築補助金など5つが加点措置対象となっているが、その範囲を全省庁の補助金に広げることを検討する。
岸田文雄首相は同日開いた「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化会議」であいさつし、「『新しい資本主義』では株主だけでなく、取引先も含め多様なステークホルダーの利益を考慮する必要がある」と指摘。政府も「成長と分配の好循環」を実現するため、中小企業が適切に価格転嫁を行い、適正な利益を得られるよう環境整備を行っていくと語った。