その広大な面積と人口密度の低さから、本来は安定した物流網の構築が難しいはずの北海道。しかしその土地で“アマゾン顔負け”の最強の物流網を構築していることで知られるのが、生活協同組合コープさっぽろ(大見英明理事長:以下、コープさっぽろ)だ。強固な物流インフラは組織内だけでなく、外部の小売企業や自治体などにも活用範囲が広がっており、新たなビジネスとして成長し始めている。
アマゾンを意識した運営戦略、宅配売上は1000億超へ
今日市場が大きく拡大している食品ECのパイオニアともいえる生協宅配。コロナ禍では外出自粛や非接触ニーズ、内食需要の高まりにより、各生協の宅配事業も軒並み好調に推移している。
地域生協として第2位の規模を誇るコープさっぽろも例にもれず、2020年度宅配事業の供給高(商品売上高に相当)は前年度から約20%も増加し960億円に上っている。足元でも順調に利用が拡大しており21年度には1000億円の大台を超えるとみられる。
その背景には、買い上げ点数や利用頻度が上がっているだけでなく、宅配サービス「トドック」の利用者が大きく拡大している点が大きい。20年度のトドックの会員数は約41万人、その後も数は伸び続けており、北海道の総人口(約528万人)の10分の1に迫る勢いだ。
コープさっぽろの大見英明理事長はかねて、ECの王者アマゾン(Amazon.com)の存在を意識し、「北海道において、コープさっぽろの宅配事業がアマゾンに対抗しながら生き残るためには、品揃えの拡充が不可欠だ」と繰り返し言及してきた。そして現在、トドックで取り扱う商品は食品、日用品を中心とする約2万2000品目。この圧倒的な品揃えを、「アマゾンを下回る価格設定を意識して提供することで、組合員の皆さまに高く評価いただいている」と大見理事長は分析する。
しかし、2万を超える品揃えを安定的に供給することは、決してたやすいことではない。ましてや、コープさっぽろが地盤とする北海道は、8万㎢以上もの広大な面積を有する一方で人口密度は日本一低く(約69人/㎢:15年国勢調査)、物流網の構築がとくに難しい土地柄だ。そうした厳しい条件下でコープさっぽろはどのような物流戦略を推進しているのだろうか。
最新鋭の設備を導入した基幹物流センター
コープさっぽろの
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