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[特別企画]ホームセンタープロモーション研究
購買意欲を高める提案型売場の醸成

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プロモーション研究

購買意欲を高める提案型売場の醸成

ホームセンターは専門的な商品を多く取り扱っていることから、使用方法や機能特性をいかにわかりやすく伝えるかが、売場づくりのポイントとなっている。本誌が2018年に取材した店舗から注目の売場をピックアップし、各社がどのような施策をとっているのか探っていきたい。(本誌:石山真紀)

 


 カインズ(埼玉県/ 土屋裕雅社長)の沖縄県3店舗めとなる「カインズABLOうるま店では、DIY提案型の店づくりで競合と差別化。沖縄では初となる「CAINZ工房」を導入し「ミニシェルフづくり」「ミニトレイづくり」などのワークショップを開催している。また「CAINZ DIY STYLE」の一角にディスプレイコーナーを設け、手軽にDIYを楽しめることを提案する(写真1)。

写真1●手軽なDIYを提案するディスプレイ/カインズABLOうるま店(沖縄県うるま市)

 

 一方、2018年7月にリニューアルオープンした「カインズ木更津金田店」ではモノづくりの楽しさを提案する「CAINZ工房」、直営カフェ「CAFE BRICCO(カフェブリッコ)」や、地元産野菜などの産直売場「カインズマルシェ」など、最新のサービス機能を導入。DIY素材、アウトドア・レジャー用品、酒売場など、随所に提案型の売場を展開することでワクワク感を演出した(写真2)。

写真2●実物展示で臨場感やワクワク感を演出/カインズ木更津金田店(千葉県木更津市)

 

 気軽に部屋の模様替えできると、近年人気の壁デコレーション。グッデイ(福岡県/柳瀬隆志社長)の「グッデイひびきの店」では「気軽にデコを楽しむ」をテーマに、水回りや屋外で使用可能なデザイン養生テープ「YOJO TAPE」や、人気の高い「deco lfa(デコルファ)」などをインテリア売場に導入している。(写真3)。

写真3●華やかな壁デコレーションのコーナー/グッデイひびきの店(福岡県北九州市)

 

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 プロユースの中でも女性職人に着目した売場提案を行うのがコーナン商事(大阪府/疋田直太郎社長)の「ホームセンターコーナン三鷹店」だ。同店では「コーナン作業着屋」と銘打ち、作業着の各種ブランドのほか、自社のプライベートブランド商品を含めて大きく展開するが、その一角に女性用サイズの安全靴と作業着に特化した売場を構築。女性職人向けの商品は以前から取り扱っていたが、女性用のコーナーを設置したのは同店が初めてとなる(写真4)。

写真4●女性用作業着や安全靴を集めたコーナー/ホームセンターコーナン三鷹店(東京都三鷹市)

 

 都市型モデル店として再スタートを切ったジョイフル本田(茨城県/矢口幸夫社長)の「ジョイフル本田千葉店」では「触れる・試せる売場づくり」を重視し、見本品を多数設置。また棚上部ボードを単なる説明的な内容ではなく、ディスプレイとしても機能するよう工夫した。たとえばニス売場では、実際にニスを塗った木片を壁面に使用することで、商品説明とディスプレイを兼ねた演出を行っている(写真5)。LIXILビバ(埼玉県/渡邉修社長)の九州エリア初出店となる「スーパービバホーム佐賀店」は、近年、集中豪雨等による水害が多い地域であることを受けて、洪水が起こりやすいエリアを示した「洪水ハザードマップ」や「高潮ハザードマップ」を掲げ、防災対策の関連商品を集積(写真6)。

写真5●商品説明を兼ねたディスプレイ/ジョイフル本田千葉店(千葉県千葉市)
写真6●防災関連商品を集積/スーパービバホーム佐賀店(佐賀県佐賀市)

 

 スーパービバホーム業態として北海道4店舗めとなる「スーパービバホーム白石本通店」では新業態のホームデコレーション専門店「ハウスデコ」の要素を日用品・キッチン用品・カーペット・ラグ・クッション・床材などの各売場に盛り込んでいる(写真7)。

写真7●「ハウスデコ」の要素を取り入れてお手軽DIYを提案/スーパービバホーム白石本通店(北海道札幌市)

 

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 ダイユーエイト(福島県/浅倉俊一社長)の「ダイユーエイトさくら氏家店」は、周辺に工業団地が点在していることからハードを強化し、ホームセンターらしさを打ち出した店舗だ。伸長する作業衣料コーナーでは「丈夫でやぶれにくい」「ニオイを防ぐ」などわかりやすい表示で機能別に商品を陳列する(写真8)。

写真8●機能別で展開する作業衣料売場/ダイユーエイトさくら氏家店(栃木県さくら市)

 

 ドイト(埼玉県/大原孝治社長)のプロユース業態であるドイトプロでも作業衣料部門を強化している。「ドイトプロ川越店」の作業衣料コーナーは、天井から吊り下げる什器を採用し、ファッション性を打ち出す演出が目を引く。夜になると、仕事帰りのプロ客がじっくりと商品を選び、大量購入していく姿が目立つという(写真9)。

写真9●ファッション性を打ち出した作業衣料/ドイトプロ川越店(埼玉県川越市)

 

 ユーホー(広島県/佐藤哲士社長)の「ユーホー倉敷大島店」では農業や家庭園芸で使用する手袋の品揃えに注力。ウレタン、天然ゴム、ニトリルなど、素材の違いをボードでわかりやすく表示している(写真10)。

写真10●素材・機能別の手袋の陳列/ユーホー倉敷大島店(岡山県倉敷市)

 

 綿半ホームエイド(長野県/御堂島司社長)の「綿半スーパーセンター富士河口湖店」は、ガーデニングや鉢植えなどベーシックな園芸用品に加えて、業務需要も想定して寄せ植えを強化。組み合わせやすい各種草花と完成した見本品を一緒に並べることで商品をアピールする(写真11)。

写真11●寄せ植えの組み合わせ提案/綿半スーパーセンター富士河口湖店(山梨県南都留郡)

 

 近年のDIYブームから、プロユースの売場にも一般消費者が訪れる機会が増えた。見たり触れたりすることで商品特性をわかりやすく伝える体験型の売場や、ワクワク感や「気づき」を与える提案型売場の展開が、今後の差別化のポイントとなりそうだ。

 

 

※掲載した写真はすべて取材時のものです。現在の売場と異なる場合があります