2018年9月28日、森永製菓(東京都/新井徹社長)は来夏までにチョコレート菓子「チョコフレーク」の生産を終了すると発表した。1967年発売の大ロングセラー。私にとっては、子供のころは高根の花だったものの、「かぜのようにかるい~」というCMソングとともに、いつもそばにあった印象が強い。最近は、お付き合いもとんと遠くなってしまっていたが、当たり前のように存在していただけに残念な感は否めない。
同社によれば、直近の5年で売上が半減しており、その理由はスマートフォンを操作しながらでは、手がべとついて食べにくいということにあるらしい。
実は、もう1社、「チョコフレーク」を製造販売している企業がある。
日清食品ホールディングス(東京都/安藤宏基社長)の事業会社日清シスコ(東京都/豊留昭浩社長)だ。
同社の「チョコフレーク」は、森永製菓の終売発表あたりを機に、とてつもない勢いで売れている。扱いのある小売店の棚は欠品が当たり前。生産は追いつかない状態だ。
森永製菓の「チョコフレーク」との勘違い購買というのも少なからずあるそうだ。
ただ、好調の理由はそれだけではない。日清シスコは遡る9月18日に発売50周年を記念して「チョコフレーク」4品をリニューアル販売していたのだ。
それ以前も2ケタ成長を継続。同社にとっては大切な主力商品のひとつなのである。
こうした動きから連想したのは、「アマゾンエフェクト」だ。アマゾン台頭の影響を受け業績を落とした企業が市場撤退を余儀なくされるという現象だ。
トイザらスやフットロッカーなど、「アマゾンエフェクト」銘柄企業は枚挙に暇がない。
けれども、たとえ「アマゾンエフェクト」によって、ある企業が倒産したとしても、その売上をアマゾンが全部持っていくわけではない。
アマゾンが取れる部分は多くても30%程度なのではないか?
その分何が起こっているのかといえば、残存プレイヤーによる倒産企業の売上争奪戦とシェア拡大だ。
トイザらスがつぶれれば、その売上は、それまでのライバル企業だったウォルマートやターゲットにも流れる。
プレイヤー数が減るということは、残存者の成長市場が増えるということになる。
このことを、アークス(北海道)の横山清社長は「縮小拡大」と喝破した。
いまや日本の市場は、マーケットが成長しない中での、シェア分捕り合戦の様相を示すようになってきた。
ライバルがほくそ笑む姿を想像しながら、是が非でも自社やブランドをなくさぬよう努めたい。