大黒天物産(岡山県/大賀昭司社長)は、製造小売業(SPF:specialty store retailer of private label food)化を推進する、と決意表明した。
大黒天物産は、1986年に食品卸売業(有限会社倉敷きのしん)として創業。2000年6月に「ディオ水島店」(岡山県)を開業して小売業に商売替え。2003年にジャスダック上場、2006年に東京証券取引所第2部上場、2013年の同第1部上場、売上高1000億円突破。現在、19府県に大型ディスカウントストア「ラ・ムー」やディスカウントストア「ディオ」、小型実験店の「ら・むーマート」や2012年に買収した西源(長野県)の店舗など107店舗を展開する。
製造小売業化の拠点となるのは、2015年5月から稼働が予定されている中国RM(Retailing Manufacture)センターである。敷地面積2万3000坪にドライ5000坪、チルド5000坪の合計延床面積約1万坪の製造工場兼物流センターだ。
投資額は、「建物に30億円、機械設備に10億円」(大賀社長)であり、「創業以来の大投資」と新しい製造基地に大きな期待を寄せる。
さらに、2018年までに関西エリアにも物流RMセンターを開設する計画だ。
さて、今回の方向転換の根底にあるのは、NB(ナショナルブランド)の廉価販売という従来型商売に対する危機意識である。
「当社はディスカウントストアなのでNBの売価は妥協することなく地域ナンバーワンを打ち出さなければいけない。ところが、利益を確保しながらNBの廉価販売に努めても、価格差はせいぜい1円~2円といったところ。そこはレッドオーシャン(血の海)の世界だ」(大賀社長)。
同社が意識して遂行するのは、ブルーオーシャン戦略。製造小売化を図っていくことで、独自性を持ちかつ低価格を訴求できる「超メガヒット商品」の開発に取り組む。
具体的には、「豆腐」関連では、「豆乳」「おから」「おからドーナツ」「うの花」「おからハンバーグ」…。原料は物流RMセンター内ですべて使い切ることで生産性・効率性を確保する。その他の製造商品としては。「讃岐うどん」「冷凍うどん」「焼きそば(蒸し)」「手延べそーめん」「キャラメルポップコーン」「珍味」「パン生地」「パン各種」「ピザ」「乳酸飲料」「厚焼き玉子」「アイスクリーム」「カット野菜」「コロッケ」「とんかつ」「チキンかつ」「塩干物」など非常に多岐にわたる。
「価格を下げて、品質をあげ、適正利益を取りたい」と抱負を語るのは大賀社長。
大黒天物産の2015年5月期第2四半期の業績(連結)は、消費税増税後の消費動向をしっかり受け止め、絶好調。売上高は651億8600万円(対前期比7.3%増)、営業利益24億1800万円(同15.2%増)、経常利益24億3900万円(同15.6%増)、四半期純利益13億4400万円(同26.6%増)と大幅な増収増益が図られた。
余談ながら、大賀社長が2015年の元旦に立てた個人的な計は、
① 自転車走行距離1500km
② デイリー・ストレッチ体操
③ 全国小売業視察30社
④ 体重75kg調整
⑤ ゴールデンエイジ元年
の5つだという。
2015年は大黒天物産にとっても、ゴールデンエイジ元年になるはずだ。