1957年に中内功さんが創業した「ダイエー」という企業名は、もともと曰く付きだった。
「ダイエー」の創立当時の社名は「大栄薬品工業」。1962年に「主婦の店ダイエー」に社名変更、1970年にはさらに「ダイエー」と変更することで現在に至っている。
では中内さんは、なぜ、「大栄」(=ダイエー)と名付けたのだろうか?
ルーツは、生家の家業の屋号「サカエ薬局」にある。
「サカエ薬局」の名前は、中内さんの祖父に当たる“栄”(さかえ)さんに由来する。
その「サカエ薬局」を中内さんの父秀雄さんが長男の中内さんではなく、次男の博さんに継がせてしまったのだ。
長子相続が当たり前の時代にあって、どんなに悔しかったことだろう。
中内さんは、「サカエ薬局」に勤務しながら、独立し一国一城の主になることを夢見たに違いない。起業するにあたって、「『サカエ薬品』よりも絶対大きくなってやる」と野望を持った――。
「大栄」(=ダイエー)には、そんな意味がある。
つまり、「ダイエー」は、中内さんの負けず嫌いと悔しさを表現した、怨念の詰まった企業名だったと言えるだろう。
周知の通り、その「ダイエー」の名前がいよいよ姿を消す。
イオン(千葉県/岡田元也社長)は、業績不振が続くダイエー(東京都/村井正平社長)の完全子会社化を発表。2018年度をめどに「ダイエー」の屋号をなくすことを明らかにした。