「しゃべれる、食べれる、コンビニエンス」として、その名を馳せたミニストップ(千葉県/宮下直行社長)は、1980年の創業――。
同じコンビニエンスストアであるセブン‐イレブン・ジャパン(東京都/井阪隆一社長)の1973年、ローソン(東京都/玉塚元一社長)の1975年、ファミリーマート(東京都/中山勇社長)の1978年との比較でいえば、遅れてきた感は否めない。
独自性を追求、イートインスペースを確保するなどそれなりの売場面積が必要だったからであろう。大量出店や企業買収は、なかなか進まなかった。
実際、2013年度末現在、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の1都3県に展開する店舗数は、787店舗。こちらも、セブン‐イレブンの5205店舗、ローソンの3315店舗、ファミリーマートの3574店舗と比べると劣勢感は否めない。
もちろん、チェーン全店売上高は3499億1400万円と一大企業。営業収入は1460億円7500万円、営業利益は46億3900万円と優良企業である(2013年度)。
ただし、コンビニエンスストア業界内では、上位企業の後塵を拝し、5位に甘んじていることも事実だ。
だが、イオン(千葉県/岡田元也社長)グループは、ミニストップが出遅れたことを決してマイナスにはしなかった。
首都圏に強大な店舗網を構築していなかったから、既存のコンビニエンスストアとは差別化できる業態を開発。「生鮮強化」「ディスカウント」など既存のコンビニエンスストアの弱点を突く、“後出しじゃんけん”で反撃の狼煙をあげた。
それが都市型小型スーパーの「まいばすけっと」だ。
グループ内にコンビニエンスストアの店舗数が少なかったことが、新しい、しかも差別化されたチェーンの大量出店を可能にしたのだ。
こうしたケースを指摘するまでもなく、小売業界には、後発の利ということがままある。
「食品スーパー業界は、大手による寡占化に動き出した」とかまびすしいが、その意味で言うなら、いまのルールの中では劣勢を強いられている中小・零細企業も新しいコンセプトやニッチマーケットを見つけ、対策を打てば、大逆転の「ルーズヴェルトゲーム」も不可能ではない。
人間万事塞翁が馬は、流通業の世界でも同じだ。