昨日の続きです。
食品スーパー(SM)各社は外食産業との競争、同業者との競争の中で、消費者の立場で自社の個性を発揮すべく、商品開発、集荷体制まで変更し、その個性をむき出しにするようになった。
たとえば、カブフーズの登場時は、ウエアハウス型で価格訴求型の店舗だったが、現在は時代を取り込み、それよりは高級志向になっている。生鮮・ベーカリーを提供し始め、ソリューションストアと呼ばれている。
カブフーズはヘルスフードコーナーも設けるようになった。いま、米国ではオーガニックや健康食品の市場が伸びているからだ。
だからといってウエアハウス型SMが消滅するわけではない。フード4レスは依然としてこの形に執着している。
また、アルバートソンズのようなフード&ドラッグ型で効率経営を進めるSM、ウェッグマンズのようにミール・ソリューションを得手とする企業、ホールフーズのようなナチュラルフードSM、ブリストルファームのようなグルメSM、これらの長所ばかりを取り込んだハイブリッド型のもの…。同じSMといってもさまざまなスタイルのものが出始めている。そこには消費者ニーズを起点にしたSM業態の分化を見ることができる。
もはや、米SM企業は、紋切り型のフォーマットには固執していない。フォーマットはすでに過去のものであり、消費者の望んでいる商品を可能な限り集めることが今後のSMの方向性と言えるだろう。
巷間、「アメリカ流通業に学ぶものはない」という声も聞かれるが、大規模店舗法緩和以降混迷が続き、依然、紋切り型のフォーマットにがんじがらめの日本企業にとって、米国のSMフォーマットの分化は未来を勝ち残るための羅針盤になるはずだ。