オーナー経営者は、「欲と2人連れだからいい」と言われる。
他人に使われるだけのサラリーマン経営者の場合は、どんなに成功しても、手にできる夢や資産はたかが知れている。
しかし、オーナー経営者は、他人に指図されることなく、頑(欲)張れば頑(欲)張った分、身入りもまた大きくなる。
だから、また頑(欲)張ることができる。
オーナー経営者は、24時間、自分の事業について考え、常にアイデアをひねり出そうとする。
そのため、会社の枝葉末節に至るまでを知ろうとし、時に従業員の箸の上げ下げにも口を出す。
四六時中考えているから、大抵、どの従業員よりも優れたアイデアが浮かび、従業員には反論の緒口さえ与えない。
ボトムアップという発想もない。意見を出し決めているのは、責任を取ることができる自分自身だからだ。
企業の興亡を一手に握っているのがオーナー経営者であり、企業を成長させるために、これほどの適材はいない。
ただ、オーナー経営者にすれば、その立場は、会社で振るう権勢ほど、磐石なものでも、優雅なものでもない。
常に、失敗して自分が今の座から陥落するか分からないという恐怖にさらされているためだ。
ちょっとしたミスでオーナー経営者も、あっという間にただの人以下になってしまう危険と隣り合わせだ。
オーナー経営者は、そうならないために常に命を懸けて仕事に取り組んでいる。
命懸けだからこそ、またアイデアが生まれる。
「毎日、サメや虎に食われる悪夢を見ている」というのがオーナー経営者の実態だ。
欲との二人三脚で確立してきた地位や事業を易々と他人に譲ることはありえない。
(談:文責・千田直哉)