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「品質を上げながら価格を下げる」 再び

「ユニクロ(山口県/柳井正CEO〈最高経営責任者〉)は、2013年秋冬商戦において、「Life Wear」のコンセプトの下に、12のプロジェクトを設けて、さまざまな商品開発を進めている」と8月7日のBLOGで書いた。

http://diamond-rm.net/articles/-/8790

 

 既述通り、12プロジェクトとは、①ヒートテック(HEAT TECH)、②ウルトラライトダウン(ULTRA LIGHT DOWN)、③フリース(FLEECE)、④シルク(SILK)、⑤カシミヤ(CASHIMERE)、⑥コットンフランネル(COTTON FLANNEL)、⑦ウルトラストレッチジーンズ(ULTRA STRETCH JEANS)、⑧レギニングスパンツ(LEGGINGS PANTS)、⑨ウォームイージーパンツ(WARM EASY PANTS)、⑩デニム(DENIM)、⑪シャツ(SHIRTS)、⑫トピックス!(TOPICS!)である。

 

 昨日は、そのうちの①ヒートテックと②ウルトラライトダウンという2つのプロジェクトについて、2013年秋冬の方針発表があったので記しておきたい。

 

 ユニクロは、今日に至るまで一貫して、「品質を上げながら価格を下げる」ことに取り組んできた。その実現に向けて、毎年、素材や技術、デザインなどのイノベーションを図り、機能を向上させ、商品を進化させている。

 たとえば、「より暖かく、より薄く、より軽く」を謳うインナーウエアのヒートテックは、2003年の発売当初の基本機能であった「発熱」「保温」に毎年新しい機能を付加。現在は、「保湿(女性用)」「抗菌」「消臭(男性用)」「ストレッチ」「静電気防止」「形状保持」「吸放湿(男性用)」「吸汗速乾(男性用)」と合計10機能を具備するようになった。

 

 2013年秋冬もヒートテックは、さらなる進化のアクセルを踏み込み、「もうひとつの肌」の実現を念頭に、いくつかの新しい試みを実践している。

 

 ひとつには、ヒートテック素材を使ったセーターやレギンスパンツ、コーデュロイパンツ、ウォームショートパンツなどの新アイテムを開発、発売することだ。インナーウエアの枠組みを超え、250アイテムを揃えることで、来る商戦に備える。

 

 2つめは、標高の高い山登りや寒いスポーツなど、「酷寒のシーンでも使える商品が欲しい」という消費者の要望に応え、従来の1.5倍の暖かさを実現した「ヒートテックエクストラウォーム」だ。生地の編み方を変え、肌面の側を起毛させることで効率良く熱を保温する。

 

 3つめは、女性用のヒートテックに保湿成分であり、古来から日本女性に天然のスキンケアオイルとして愛用されてきた「椿オイル」を配合したことだ。オレイン酸を含み、化粧品などにも使われている「椿オイル」を配合することで、よりしっとり、より滑らかな生地を実現した。

 そして、女性用では、「Celia Birtwell」、「SOU・SOU」、「Orla Kiely」、「EK JAM FACTORY BY ELEY KISHIMOTO」とのコラボレーションアイテムを、9月から順次発売する。ヒートテックのためだけに書き下ろされたオリジナルテキスタイルも新登場。子供用では、女の子に人気の「GreenGate」、「サンリオ」とともに、男の子向けには「ポケモン」などコラボレーション柄が登場する。

 

 一方、2009年の発売以来、「軽さ」と「暖かさ」を追求し、好調に推移するウルトラライトダウンの進化も止まらない。

 

 2013年秋冬シーズンは「トラベル」「タウン」「ビジネス」「スポーツ」の4つに商品を分類し開発。あらゆるシーンに対応するアウターを意図して、全12色160柄を発売する。すべての商品にポーチを付け、折りたたみ傘のような感覚で、必要に応じて羽織り、使わない時はコンパクトに持ち運べる(=モバイルウエア)ようにした。

 

 また、ウルトラライトダウン史上最軽量の女性用「コンパクトダウン」が初登場している。ベストタイプは79g、ジャケットタイプは123g。丈の長さを通常のジャケットより2cmほど短くしてあるので、真冬には《インナー》と《アウター》の中間に着る《ミドラー》としても役立つ。

 

 さらには、転写プリントの技術を採用。従来のスクリーンプリントでは表現できなかった陰影やグラデーションのあるデニム地やニットの網目をプリントした新柄が可能になり、ファッション性の高いデザインが誕生し、着こなしが広がる。

 

 なお、ヒートテックとウルトラライトダウンについての販売数量目標は、「お客様に直性関係がない」(中島修一ユニクロ取締役商品本部長)という理由から、今年度より明らかにされていない。

 2012年秋冬の販売目標は、ヒートテックが1億3000万枚、ウルトラライトダウンが1300万枚だったが、これを上回る数字を組んでいる模様だ。