職場は“自己実現の場”と言われるけれども、実際に自分の最も得意とする技能を仕事に生かしている人間というのは、それほど多くはないものだ。
とくに、標準化によって、やるべき仕事がほぼ決まっているチェーンストアの売場では、自負する才能をなかなか発揮しにくい環境にあると言っていい。
だがウォルマートは、そんな所にも光を当てるべく、一大イベントを主催している。
アソシエイツ(従業員)の歌やダンスなどの才能を発掘すべく、「ウォルマート アソシエイツ タレント サーチ」という名前で『アメリカンアイドル』(FOX)やかつての『スター誕生』(日本テレビ)のようなオーディションを社内で実施しているのだ。
今年の株主総会では、英国アズダの出身で歌唱コンテストを勝ち抜き、メジャーデビューも果たしたジャーマイン・ダグラスさんが紹介され、数曲を披露した。
舞台には、ダグラスさんのバックで多くのアソシエイツがコーラスを担当してその場を盛り上げた。
約220万人の従業員を抱えるウォルマートなら、歌唱のみならず、類まれなる文才や演技力、作曲力、楽器演奏力、スポーツ力…などを携えた人も少なくないからなのだろう。
ただ、このことは、日本の小売企業にも同じことが言える。
人数的な問題で、メジャーデビューを果たすだけの才能は見つからないかもしれないが、もし見つけることができれば大変なパブリシティ効果をもたらすに違いない。
単純に従業員が盛り上がるためのイベントのひとつ、モチベーションアップの行事としても、こうしたお祭りの開催を検討してみたい。