ウォルマートの株主総会(シェアホルダー・ミーティング)に初めて参加した。司会は映画『レ・ミゼラブル』や『X‐MEN』でお馴染みのヒュー・ジャックマン。トム・クルーズはウォルマートのCSR(企業の社会的責任)を語り、各事業のCEO(最高経営責任者)の方針発表などの合間にはグラミー賞を受賞したジョン・レジェンドや映画『ドリームガールズ』で大ブレイクしたジェニファー・ハドソンらの歌がはさまる。
驚かされるのは、ウォルマートの従業員(=アソシエイツ)が司会の手助け役として、次々とビッグスターや経営者たちと同じ舞台に上がり、堂々と式次第を進めていくことだ。店舗勤務者、トラック運転手、女性帰還兵…。緊張しながらも人生最高ともいうべきステージでそれぞれが立派に役割を果たす。
ここが“割り切り契約社会”のアメリカであったとしても従業員の帰属意識は自然と上がるに違いない。モチベーションのあり方ひとつで人間は計り知れない能力を発揮するものだ。毀誉褒貶相半ばするとはいえ、ウォルマートのこうした従業員重視の姿勢は、同社の強さの一端を支えていると確信した。
『チェーンストアエイジ』誌2013年7月1日号