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有名無実化した「消費税還元セール禁止令」

 政府は、消費税増税時の小売業のセール実施時の表示について統一見解をまとめた。

 『日本経済新聞』によれば、《消費税増税還元》と銘打つセールを禁じる一方、「消費税」の文字を含まないものは容認するという。

 これによって、「3%値下げ」「生活者応援」「入学・入社」「お花見」「EDLP(エブリデー・ロー・プライス)」などの表現でのセール実施は可能になる。

 

 「消費税引上げ関連特別措置法案」の還元セール禁止項目の馬鹿らしさについては、先月のBLOGでも書いた。

 だが、これによって、2013年4月に消費税率が現在の5%から8%に引き上げられた後、「消費税還元セール」などの実施を禁止する法案は有名無実化したと言っていい。

http://diamond-rm.net/articles/-/8119

 

 そもそも、清水信次日本チェーンストア協会(東京都)会長が再三指摘しているとおり、デフレ期の現在、消費税増税する事自体に誤りがある。

 所得は上がらないのに、物価のみが上がる局面で、生活者が安値を望むなら、なんとか期待に応えようとするのが、チェーンストアの習性。自由競争下ならば、この動きを止めることは誰もできないはずだ。

http://diamond-rm.net/articles/-/6091

 

 もし増税を実施するのであれば、“アベノミクス”なる経済政策の効果による「円安・株高」を維持し、生活者の所得が増加し、若干のインフレ傾向が定着した後だろう。

 

 流行りの言葉を使うなら、「消費税いつ上げるの? 今じゃないでしょう!」となる。

 ただし、いつ何時に上げたとしても、チェーンストアを初めとする小売業各社は、数々の名目でセールを実施するに違いない。

 

 だからこそもう一度、書いておきたいのは、政府が打たなければいけない手は、こんな幼稚な弥縫策ではなく、日本経済の本質的な体質改善策と具体的な景気浮揚策にある、ということだ。