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《バイヤー》がいなくなる?!

 「仕入れて売る」という商売の原初的な形は大きく変わっている。加熱する低価格競争の中で、従来型の商売では利益を上げることが難しくなった小売業各社が「利は元にあり」とばかりに製造小売業(SPA)化を進めているからだ。イオン(千葉県/岡田元也社長)、セブン&アイ・ホールディングス(東京都/村田紀敏社長)、ファーストリテイリング(山口県/柳井正CEO〈最高経営責任者〉)など日本を代表する小売業は、その方向にシフトしており、株式時価総額は高い。

 

 SPA化の利点とは、単に利益構造を変えることのみにとどまらない。高粗利・低価格に加え、同業他社が扱っていない商品を自ら創りだすことで差別化を図ることができる。数年前からは、大手のみならず、食品スーパー企業もこぞってSPA化に乗り出し、生鮮食品を含む全部門の商品の生産・製造にかかわり始めている。

 

 このようにビジネスモデルが変わるということは、従来の仕事の仕方が変わるということを意味する。SPA化によって《バイヤー》は、もっとも大きく変わる業務のひとつだろう。ナショナルブランドやローカルブランドの仕入れのほか、マーケティングの能力も求められるようになるためだ。これに伴い、今後、すでにいくつかの企業が実施しているように、《バイヤー》という職務名自体も変わっていく可能性がある。 

 

『チェーンストアエイジ』誌2013年1月15日号