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ファーストリテイリング2012年8月期決算実況中継(下)

 そして、今後、グローバルブランドを目指すにあたってCSR(企業の社会的責任)活動は重要だ。

 我々は、服の企画・生産・販売を通して「世界を良い方向に変えていく」という方針を打ち出している。

 

 企業の精神そのものを買っていただき、企業として永続的に支持されることをめざす。こうした姿勢が事業の成績と同等にあるいはそれ以上に重要なことになると思う。

 いつも海外で聞かれるのは、「あなたの企業は何か?」「我々の国に対して、どういういいことをしてくれるのか?」「世界に対してどういういいことをしているのか?」ということ。今後、グローバル化が進展していくと、情報は一瞬で広まって、本物でなければ支持されなくなる。

 そのために我々は事業活動と同等にCSRの活動をしていきたい。

 

 現実的には、ユニクロ復興応援プロジェクト、全商品リサイクル、ソーシャルビジネス、障害者雇用、生産工場における労働環境モニタリング、環境保全活動などを実践している。

 トピックは、東日本大震災の復興応援のプロジェクトだ。これまでに総額33億円相当の寄付を実施してきた。さらにこの3月に3億円を拠出してお客さまの募金と合わせて被災地での自立支援、雇用創出、経済支援に取り組むNPO団体を今後3年間支援すると決めた。ユニクロの社員もこれに積極的に参加している。

 またこの3月に、ユニクロシープラザ釜石店(岩手県釜石市、仮設から通常店舗へ)、ユニクロ気仙沼店(宮城県気仙沼市:仮設店舗)、ユニクロ原町店(福島県南相馬市:一時閉店店舗の再開)を出店した。

 

 全商品リサイクル活動は、6月から「300万着足りませんキャンペーン」を開始して、10月現在で目標は達成した。2001年から活動を開始して、以来、22の国に519万点の衣料を難民・避難民に寄付した。

 

 それとグローバルな社会貢献活動の一環として、プロテニス界のトップランカーのノバク・ジョコビッチ選手と「グローバルブランド アンバサダー」契約を結んだ。ジョコビッチ選手と共同で社会貢献活動をやっていきたい。

 10月16日に彼が来日する。我々と一緒にグローバルで子供たちの将来のために10億円を拠出して彼の財団および、社会的支援活動の機関と一緒になってやっていきたい。

 

 彼はセルビアの出身。母国ではテニス選手であるということを別にして英雄視されている。

 なぜならセルビアは戦火からまだまだ回復しておらず、とくに子供たちが生活に困っている。その子供たちが希望を持てるように社会貢献をしていこうと具体的に動いているからだ。

 

 話は、少し変わるが、そのジョコビッチ選手は、先日、中国オープンを3連勝した。

 同日に錦織圭選手が楽天ジャパンオープンで優勝した。うれしい限りだ。

 偶然なのだが、支援している選手が同じ日にオープン大会で優勝するということはあまりない。

 錦織選手は全豪オープンで日本男子として80年ぶりにベスト8入り。世界ランクは日本選手最高の15位だ。

 

 我々は3人のプロテニス選手しか支援していないが、2大会連続パラリンピックで金メダルを取った国枝慎吾選手にも言及したい。

 実は、店長以上の幹部3000人のコンベンションの際に彼にスピーチをしてもらった。話を聞けば聞くほど、彼の勝利に対する執念、周到な準備、メンタルの集中度…の凄さを実感させられた。彼は半年前にひじの手術をして、直近の半年間でそれ以前よりももっと強くなった、と語った。

 1日、4時間腹筋トレーニングをしている。スケジュール管理、周到な準備は精緻を極めている。たぶん、彼がビジネスを始めたら成功するだろう。

 

 彼が自分に言い聞かせていることは、「オレは世界で最強だ!」ということ。世界で最強ということがイメージできない限り、世界一にはなれない、と彼は言っている。
 

 以上、2012年8月期を振り返り、今後の事業展開について話をしてきたが、最後に確認するなら、「我々の会社は、服を変え、常識を変え、世界を変えていく」ということになる。