ベトナムの人口は約8600万人と言われる。約60%が30歳以下で平均年齢は27.8歳。今後の高度経済成長と消費拡大が期待され、将来有望であることは言うまでもない。
そのベトナムの即席めん市場は、年間約49億食(2011年)にまで拡大しており、中国・香港(424億7000万食)、インドネシア(145億3000万食)、日本(55億1000万食)に次いで世界第4位。2007年の規模は39億1000万食だったというから、4年間で25%も伸びている(数字は世界ラーメン協会:WINA〈大阪府/安藤宏基会長〉調べ)。
ベトナムの即席めん市場でガリバー的にシェアを獲得しているのは、日本のエースコック(大阪府/村岡寛社長)だ。占有率は実に65%に上る。1993年にベトナムに現地法人を設立した後、高品質で安価な「ハオハオ」という名の袋めんを大ヒットさせた。
以後、同社はベトナムで確固たる地位を確立し、ホーチミンに2工場、ビンズオン省に1工場、ハノイに3工場、ダナンに1工場、ビンロン省に1工場を展開するに至り、ベトナム全土に生産販売拠点を拡大している。
このエースコックの独走に待ったをかけるべく、今年7月5日にビンズンに世界最先端麺技術の工場を竣工させたのが、同じく日本の日清食品ホールディングス(東京都/安藤宏基社長)である。ベトナムの子会社ベトナム日清(廣田喬司社長)は、敷地面積6万㎡、工場延べ床面積3万1809㎡の新工場に実に24億円を投じて建設した。ベトナム市場において、袋めんにかける同社の意気込みの大きさが感じられるところだ。
同社が新工場で生産するのは、《ノンフライ》袋めん。湯かけタイプであり、スープはベトナム有名料理研究家の監修を得るなど商品力向上に努めた。1個当たりの売価は約19円と従来の商品との比較では若干高めだが、フライめんが主流だった市場に健康志向を訴求しながら、トップ企業の牙城切り崩しに挑む。
異国の地における日本企業同士の一騎打ちの行方に注目したい。
※日清食品のTVCMも面白いので、ぜひユーチューブで見てみていただきたい。http://www.youtube.com/watch?v=M42oYyIrYTk