企業のオリジナリティ(独自性)とは何だろうか?
非常に難しい問題ではある。
これだけ同質化が進んでいると言われる流通業界においても、根本的なところでは、同業者がまったく同質化しているということはない。
各企業にはオリジナリティがあるからだ。
たとえば、同じ問屋に丸投げの商品政策で同じフォーマットを展開するA社とB社であっても、企業風土や考え方は異なる。
それは、その企業の創業経緯、創業者のパーソナリティ、歴史がDNA(遺伝子)となって、染み込んでいるからであり、それがオリジナリティの根幹だ。
しかしながら、創業者から次世代経営者にバトンタッチがなされ、経営の引き継ぎが繰り返される中で、創業の理念はやがて忘れ去られ、良い意味でのオリジナリティは失われていく――。
そんな危機意識から、この3月に設立準備委員会(古谷寛委員長)を開設していたのが、イオンDNA伝承大学だ。
「イオン(千葉県)の創業世代(=団塊の世代)が続々と引退する中で、それに続く、若い新しい世代がイオンのDNAを失わずに企業の継続的成長をどのようにつくっていくのかは大きな問題だ」(岡田元也社長)。
DNA伝承大学ではイオングループの成長を支えた経営陣が自ら講師になって若手と対話する中で直接指導する。
受講者は経営者との対話の中でイオンの成長の歴史を追体験して、創業以来の理念や経営に対する思想を体内化していく。
2013年2月期下期から、まず40人を集めて開講。2020年までには、国内外で300人の次期経営候補者を育成するという。
「イオンは、多くの企業の合併会社なので多くの血脈がからみあっている。これを整理して次の若い世代に伝承したい。企業家精神旺盛な勇敢でひたむきでがむしゃらな経営人材を計画的に持続的に創出していく。イオンDNA伝承大学は、その制度化である」と岡田社長は抱負を述べている。