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過去最高益達成のイオン岡田元也社長@株主総会(前篇)

2012年5月17日、イオン(千葉県/岡田元也社長)は、第87期定時株主総会を開催した(@幕張メッセ国際展示場5ホール)。過去最高の売上と利益で臨んだ舞台で、岡田元也社長は何を語ったか?今日明日と2回にわたって収録する。(談:文責・千田直哉)

 

 2012年2月期、イオン(千葉県/岡田元也社長)の営業収益は5兆2061億円と小売業界ではトップの座に就いた。営業利益は1956億円、経常利益は2122億円、当期純利益は667億円(ともに連結)と過去最高益を挙げることができた。

 

 2012年2月期は、グループ中期経営計画の初年度の年だった。2020年に向けた新しい成長ステージに移行する第1ステップと位置づけ、スタートを切った途端に東日本大震災が起こった。

 しかし、それでも目標数字を変えることなく、グループ構造改革によるグループ事業間の重複と分散の解消に取り組み、「1業態1ブランド」「専業化」「地域密着」を推進し、日々の業務に務めた結果、好業績を残すことができた。

 

 以下では、その中期経営計画の進捗状況を報告したい。

 

 2012年2月期の期初に当たり、イオンは、①アジアシフト、②大都市シフト、③シニアシフトをメガトレンドととらえ、それぞれの責任者として順に、私岡田元也、豊島正明専務、森美樹副社長を任命した。2013年2月期は、これに④デジタルシフトを加え、ジェリー・ブラック専務が責任者を務める。

 

 さて、2013年2月期の主要課題は、ひとつに中核事業であるGMS(総合スーパー)改革だ。

 現在、GMS事業は、専門店化とスピンオフを進めている。GMSは過去10年以上の間、停滞してきた。しかし、それは日本独特の現象である。

 つまり、総合業態が限界にあるのではなく、国内外に台頭してきた専門店企業に対して、何の手も打ってこなかったことに問題がある。実際、イオンを振り返っても、既存のGMS店舗への投資を怠ってきた。

 GMS低迷の直接的な原因は、この2つだ。

 イオンは、このことを反省し、専門店の時代に対応するために、自らが専門店として集積していく途を選んだ。

 

 たとえば、サイクル専門店である「イオンバイク」は、日本一の自転車専門店をめざし邁進中である。スポーツバイクや電動バイクやサイクルファッションなどを品揃えに加え、取扱品目数は従前の1.6倍になっている。また厚生労働省認可のサイクルアドバイザーの資格取得者は700人を数え、サービス面の強化に努めている。

 こうした取り組みの結果、サイクル売場の1坪当たり売上は20%も増加するに至り、GMSの業績向上に大きく貢献している。2013年2月期は、ショッピングセンター内や路面店などに約140店舗を出店する計画で200店舗体制が視野に入っている。

 

 イオンリカーも注目の専門店だ。イオングループの中には酒類を直接輸入する会社のコルドンヴェール(東京都/山内浩晶社長)があり、現在、ワインの輸入量は、日本国内でも屈指と言える段階まで来ている。世界各地の生産地と直接取引ができる強みをベースにして、現在、店舗展開を進めている。

 イオンリカーは、酒類のSPA(製造小売業)化を志向しており、5月1日には、グループのプライベートブランド「トップバリュ」をつけたワイン(赤・白:750ml、価格580円)の販売を開始。お値打ちなワインだと自負している。なお、イオンリカーは2013年2月期に路面店80店舗の出店を計画している。

 

 ペット売場については、2012年2月にAHBインターナショナル社と統合し、イオンペット(千葉県/小川明宏社長)を新設した。国内ペット専門店としてはナンバーワンの規模であり、ペットフードや用品のみならず、ホテルや病院、トリミングなどのサービスを提供する《ペットのワンストップショッピング》を実現している。2016年2月期までには営業収益を1000億円にして、アジアで圧倒的ナンバーワンのペット総合専門店チェーンになっているはずである。

 

 その他にも、手芸用品のパンドラハウスや輸入食品売場など、専門店化を図り、スピンオフさせる戦略を継続したい。