1979年、アメリカペンシルバニア州のスリーマイル島原子力発電所で大事故が発生。国際原子力事象評価尺度のレベル5。事業所外にリスクがともなう深刻な事故としてニュースは世界中を駆け抜けた。
その7年後の1986年。今度はソビエト連邦のチェルノブイリ原子力発電所第4号炉でレベル7という最悪の事故が起こった。かの有名なチェルノブイリ原子力発電所事故だ。事故発生から1カ月後までに30㎞圏内に居住する約11万6000人が避難。死者はもちろん、健康、自然への影響など試算不能というほどの甚大な被害をもたらした。
その同じレベル7の大事故となったのは、2011年の東日本大震災の余波を受けて起こった福島第一原子力発電所の事故だ。1~4号機がすべて津波被害を受けており、いまだに現場の状態がどうなっているのかさえ分からない。
アメリカ、ソビエト連邦という東西冷戦の主役、人類を宇宙空間に送りこむことができたたった2つの国。そして経済大国の日本…。
3カ国ともに先進国首脳会議(サミット)の構成メンバーであり、原子力技術も世界屈指の国家だったと言っていい。
いみじくも、その3つの大国で、原子力発電所事故が起こった。
理由はそれぞれだし、言い訳もそれぞれあるかもしれないが、厳然たる事実は世界をリードする3大国で目を覆いたくなるような事故が起こったということだ。
これが技術力を持たないない発展途上国で起こったということであれば、原子力発電所そのものというよりは、メンテナンスやオペレーションのミス、ヒューマンエラーなどに原因が求められるのかもしれない。
だが、先進国の中でも技術力に長けた3大国で事故が起こったということは、原子力発電所そのものに問題があると言っていい。
もう、原子力発電所は事故を起こすものと結論したい。
今後の活用については、そのことをを織り込んだうえで、論議すべきだろう。